ヤンキースの主砲アレックス・ロドリゲス内野手が、グラウンドに戻って来ました。禁止薬物規定に違反したため、2014年は全162試合の出場停止処分を受け、長い間、公の場から姿を消していましたが、今キャンプからチームに合流。監督、同僚、スタッフだけでなく、ファンに対しても謝罪の言葉を伝え、復帰への第1歩を踏み出しました。

 復帰戦となった4日(日本時間5日)のオープン戦(対フィリーズ)は、スポーツ専門局ESPNが、打席ごとに生中継で詳細を伝えるなど、全米中の注目を集めました。ロドリゲスにとっては、2013年9月25日以来、約1年半ぶりとなる実戦。前日には「ちょっと緊張するだろう。長い間、ファンの前に立っていなかったし、とても興奮している」と話すなど、MVPを3回獲得したスーパースターもナーバスになっていました。その注目の第1打席は、カウント0-2と追い込まれながら3球目を左前打。一塁ベース上で思わず笑みがこぼれるほど、ホッとした表情でした。

 その一方で、今年7月で40歳の誕生日を迎えるロドリゲスの今後が、険しいことは否定のしようがありません。契約は17年までの3年、6100万ドル(約70億円)と残っており、現時点では、DH、または三塁、一塁の控えとして考えられています。それでも、結果を残さない限り、地元メディアや熱狂的なファンからの厳しい批判にさらされることは確実です。ジラルディ監督は「長いブランクがあるし、あれだけの選手だから周囲は普通の成績では納得しないし、期待値は高い。ただ、彼にはある程度の時間が必要だろう」と、寛容な姿勢を見せていますが、それも時期次第でしょう。7月のオールスター頃までに本調子を取り戻さない限り、立場は危うくなると言われています。

 通算654本塁打のロドリゲスは、歴代4位のウィリー・メイズの記録まであと4本、通算3000安打まで61本と、達成間近な大記録も待ち受けています。「まだ準備ができているかは分からない。ただ、これからがチャレンジ。やってみせるよ」。ジーター引退後、リーダー不在のヤンキースの中で、ロドリゲスの存在が、「表と出るか、裏と出るか」。大きなカギを握っていることは間違いありません。