メジャーリーガーになりながら、車のバンで生活する選手にアメリカのメディアとファンが注目を寄せている。その選手とはブルージェイズの左腕、ダニエル・ノリス投手。


 テネシー州出身で現在21歳のノリスは2011年に高校卒業後、ドラフト2巡指名でブルージェイズと契約。以降マイナーで徐々に力をつけてきた。そして昨年9月に念願のメジャー昇格を果たし、1ゲームの先発を含む5ゲームに登板している。勝敗はついておらず、4奪三振、防御率5.40という成績だった。


 今シーズンは球速150キロ近い速球を武器にメジャー定着に挑む。1月にはMLBが期待の左腕投手ランキングで3位に挙げたほどの逸材だ。


 そんなノリスは今、古いバンで生活する「バンマン」としても有名になっているのである。きっかけは2月にアウトドア系情報サイト「グラインドTV」が「バンの中で生活しているプロ野球選手に出会う」という特集を掲載したことだった。さらに今月になってスポーツ専門局ESPNが「バンの中の男」というルポをウェブで公開し、一挙に知れ渡るようになった。現在ドキュメンタリー映画も撮影されている。


 では、いったいどんな生活をしているのか。記事などによれば、普段ノリスはフロリダで大手ドラッグストア、ウォルマートの駐車場に止めた1978年製フォルクスワーゲンのバンの中で寝泊まりし、時にはサーフィンや登山に出かけるのだという。決してお金に困っているのではない。むしろ逆で契約時にボーナスとして200万ドルを受け取っている。しかしノリスはぜいたくな暮らしには興味がないようで、月800ドル(約9万6000円)で生活しているということだ。サーフボードにしても中古品を使っているのだとか。


 こう聞くと世捨て人のように思えるが、決してそうでもない。ツィッターやインスタグラムといったSNSを駆使し、情報発信も行っている。#Vanlife(バン生活)というハッシュタグが作られるほどの人気ぶりだ。


 アウトドア派という意外な方面からのファンも獲得しているノリス。期待通り先発ローテーション入りを果たすことができるか、そしてそれでもこれからも同じような生活を続けることができるのか。川崎宗則内野手の動向と合わせ、ブルージェイズには注目だ。