現地9月30日に行われたアメリカン・リーグのワイルドカード・ゲームは延長12回、ロイヤルズがアスレチックスに逆転サヨナラ勝ちをおさめた。ロイヤルズは7回まで3対7とリードされていたが、9回裏に青木宣親外野手の犠牲フライで追いつくことに成功。さらに12回表に1失点してまたもリードを許したがその裏、1死からエリック・ホズマー1塁手の三塁打でチャンスを作り指名打者クリスチャン・コロンの内野安打で追いつくと、2死二塁からサルバドール・ペレス捕手が三塁線を破るサヨナラ打を放った。

 このゲームがいかに激戦で、劇的なものだったかは、記録にも表れている。まず8回以降で4点差をつけられていたチームが勝利したのはMLBのプレーオフ史上初だ。

 さらに青木を含めロイヤルズの1ゲームで7つ盗塁もプレーオフ史上最多タイである。ちなみに7つのうち5つが得点に結びついている。

 盗塁については8回裏の4盗塁も1イニングの盗塁数としてはやはりプレーオフ最多だった。

 またロイヤルズは4つ犠牲バントをしたが、これは2007年以来最多となっている。MLB記録は1906年のワールドシリーズでカブスがホワイトソックス相手に行った5が最多ということだ。

 このように見てくるとロイヤルズがかなりアグレッシブな攻めをし、逆転勝利をもぎとったように思えるが、一方で今回のゲームでの采配に対し、ロイヤルズのネッド・ヨースト監督への批判も巻き起こっている。

 それは6回表の継投策に対するものだ。ロイヤルズは3対2と1点リードしていた。投手は今シーズン、14勝をあげているエース、先発のジェームズ・シールズだった。シールズはこの回、安打と四球で無死一、二塁とピンチに陥る。するとヨースト監督はここでヨーダノ・ベンチュラ投手と交代させたのだ。シールズのこの時点までの投球数は88で、2011年以来最も少ない球数での降板である。さらにベンチュラは今シーズンやはり14勝を挙げたが、まだ23歳で、しかも今シーズン、リリーフ登板は1度しかなかった。

 そしてこの継投策の結果、ベンチュラはアスレチックスの4番、指名打者ブランドン・モスに3ランを打たれ、逆転を許してしまったのである。

 これに対し、交代はすべきではなかったという声が噴出することになった。元レッドソックスで現在解説者をしているペドロ・マルチネス氏はツィッターで「ネッド・ヨーストはパニックになったのだと思う。ゲームをつぶしかけた」などと投稿し、ヨースト監督の失敗であり、今後の采配への不安を指摘している。

 劇的な勝利への興奮と采配への批判が入り交じることなったロイヤルズは地区シリーズでどんな戦いを見せるだろうか。