日本人最長契約で米球界に飛び込む。広島からポスティングシステムでメジャー球団と交渉中の前田健太投手(27)が1日(日本時間2日)、本命視されたドジャースと8年契約で合意したことが分かった。米時間12月31日に複数の米メディアが報じたもので、この日までにメジャー関係者も認めた。契約は異例の方式とみられ、基本年俸は年平均300万ドル(約3億6000万円)でも、インセンティブ(出来高)が年平均で1000万ドル(約12億円)を超える内容だという。早ければ、週明けにも本拠地ロサンゼルスで入団会見が行われる見込みだ。

 年の瀬が迫った12月31日、前田がドジャースと合意したという一報が米西海岸に駆け巡った。契約は8年総額2400万ドル(約28億8000万円)で、各年に1000万~1200万ドル(約12億~14億4000万円)の出来高が付くという。14年11月にスタントン(マーリンズ)の大型契約をスクープしたクリストファー・マエオラ氏が自身のツイッターで報じたもので、出来高が基本年俸の3倍以上というメジャーでも異例の契約内容だ。その他の付帯条項は明らかになっていないが、途中で契約を解除できる「オプトアウト」の権利などが盛り込まれている可能性もある。

 先発補強が課題だったド軍と、西海岸志向とされた前田とは「相思相愛」だった。ポスティング申請後の12月14日、前田は早穂夫人ら家族を伴って緊急渡米。健康診断などを経て、同16日にはドジャースタジアムの大型スクリーンに前田を歓迎する映像が流された。さらにクリスマスイブの同24日には、代理人アダム・カッツ氏らと一緒に本拠地を訪問。フリードマン編成担当取締役と直接交渉を行い、入団合意は秒読みとみられていた。

 今オフのド軍は、大物右腕グリンキーの慰留に失敗し、FA岩隈との3年契約が合意後に破談となるなど、投手補強に苦戦した。年末には左腕カズミアーと3年契約を結んだが、ここまで確定する先発5人全員が左腕と偏ったローテになっており、右腕は前田にターゲットを絞っていた。米東部時間8日午後5時(日本時間9日午前7時)の交渉期限までに契約がまとまれば、譲渡金2000万ドル(約24億円)がド軍から広島に支払われる。

 前田はすでに現地の住宅面なども確認済みとみられる。今後は週明けにも再渡米し、本拠地ドジャースタジアムで入団会見を行い、ドジャーブルーのユニホームに袖を通すことになりそうだ。

 ◆日本選手の長期契約 ヤンキース田中が14年から結んだ7年契約が最長。次が6年で、レッドソックス松坂が07年から、レンジャーズ・ダルビッシュが12年から。5年契約はマリナーズ・イチローが08年から、ヤンキース井川は07年から。4年契約は04年からのマリナーズ・イチロー、06年からのヤンキース松井秀、08年のカブス福留、97年のヤンキース伊良部、04年のドジャース石井と、過去5人いる。また岩村が07年からレイズ(当時デビルレイズ)と4年目オプション付きの3年契約を結んだ。