ヤンキース田中将大投手(27)が、マリナーズ岩隈久志投手(35)との投げ合いを制し、11勝目を挙げた。楽天時代のチームメートと、今年4月以来2度目の対戦。岩隈は6回3失点だった。今回の登板で、2人とも規定投球回となる162イニングをクリア。岩隈は、マ軍との来季契約が自動更新される条件を満たした。

 岩隈は変化球を散らす投球で田中と張り合った。100球中、直球とカーブが13球と同じ割合。本気で勝ちにいく試合で見せる複雑な配球だった。だからこそ1回2死、ヤ軍サンチェスの初球に浴びた先制ソロの外角直球が痛恨だった。「絶対に先制点を与えない気持ちだった。ストライクを取りにいったら。初回のホームランは大きい」。田中を楽にしてしまった。

 静かな迫力があった。黒目だけを動かし、リリースの瞬間までボールから絶対に目を切らない。「気合も入って、楽しみにしてました」と投げ合いに喜びを感じ、自分に徹した。3者凡退は6回だけ。与四死球3の数字も慎重に攻めた裏返しだった。「3点取られた、という気分の方が強い。あれだけの投げ合いだったし。抑えたかった」と感情を隠さなかった。

 メディカル面の理由で、ドジャースとの契約が合意寸前で破談となった今季。契約延長の自動更新に課された規定投球回のハードルを悠々とクリアし、来季1400万ドル(約14億円)でマリナーズ残留が決まった。「チームもいい状況にいる。やるべきことをやって、終わったときにゆっくり考えればいい」。投げ負けた悔しさが上回り、大きな節目への感慨はなかった。

 ▼田中と岩隈が4月17日以来、今季2度目の先発対決。日本人投手の先発対決は前記以来13度目。田中はこれで2戦2勝。日本人先発対決で2勝は、黒田、ダルビッシュに次いで3人目の最多タイ。岩隈は12、13年にダルビッシュ(レンジャーズ)と投げ合い1勝1敗。田中との対決は2敗で、通算1勝3敗となった。