トミー・ジョン手術からの完全復活だ!! レンジャーズのダルビッシュ有投手(30)が本拠地でのロイヤルズ戦に先発。右肘手術後最多の113球で、同最長となる8回を投げ切った。5安打2失点、8奪三振1四球で今季2勝目(2敗)をマーク。チームを4連勝に導く快投に、ブロケール投手コーチも「彼はサイ・ヤングになれる」と歴代最多511勝を挙げた伝説の投手の名前を出してたたえた。

 意地でももう1イニングいくつもりだった。ダルビッシュは3回こそムスタカスとボニファシオに連続本塁打を許したものの、すぐ立ち直った。4~7回を3人で終わらせ、7回終了時で99球。交代の目安100球には近かったが、まだまだ投げられた。

 ベンチに戻るとブロケール投手コーチが近づいてきた。地元のダラス・モーニングニューズ電子版によると、そこからちょっとしたやりとりがあったという。

 コーチ 話がある。

 ダルビッシュ オレは大丈夫ですよ。

 コーチ もう99球だぞ。

 ダルビッシュ まだ88球ですよ。

 コーチ ノー! 99球だ。

 ダルビッシュ まだ88球しか投げていない感じなんですよ。

 コーチ 分かった。じゃあ投げてみろ。

 志願の8回も3者凡退に封じて、救援のブッシュにバトンを渡した。なんとムスタカスを二ゴロに打ち取った最後の113球目で、この日最速の97・2マイル(約156・4キロ)をマーク。「(術後で)一番力強かった。8回でも球速がちゃんと出ていたので自信になった。8回はまだまだいけたし、いけるというところを見せたかった」と自画自賛の言葉も飛び出した。

 前回登板は5回まで無失点。だが6回に4失点して82球で降板させられた。ブロケール投手コーチが地元メディアで「内角を攻めるというゲームプランを遂行できなかった」とダルビッシュを批判。バニスター監督の会見で「2人はうまくいっているのか?」という質問も飛んだ。

 そんなチーム内の不穏な空気も一掃する好投に「いつもダルビッシュ有らしく投げろと言っているが、今日は彼らしかった」と笑顔を見せた同投手コーチ。そして「彼は大リーグ最高の右腕の1人。サイ・ヤングのようになれる」とたたえた。