ドジャースからFAになっていた斎藤隆投手(38)の移籍先が10日(日本時間11日)、レッドソックスに決まった。条件は1年契約(2年目は球団オプションで)年俸200万ドル(約1億8000万円)ながら、インセンティブが破格の700万ドル(約6億3000万円)にも及ぶ契約となった。レ軍は抑えパペルボンとの2枚ストッパー構想も持っており、背番号は「29」に内定した。09年のレ軍は、松坂-岡島-斎藤の日本人リレーが、新たな注目を集めそうだ。

 レ軍の一員になることにためらいはなかった。7日に極秘渡米した斎藤は、9日にボストンで身体検査にパスすると、即座に契約を済ませた。その理由は明快だった。「勝てるチームということです。クローザーにこだわるとすれば他のチームもありましたが、やはりチャンピオンリングが欲しい。そこに近いチームですから」。昨年12月中旬、FAとなって真っ先に声を掛けてきたレ軍の熱意は、痛いほど感じた。

 1年契約とはいえ、レ軍が提示した内容は異例の好条件だった。昨季中盤、右ヒジ痛で戦列を離脱したこともあり、年俸は200万ドルながらインセンティブは前代未聞の700万ドル。しかも、年間70試合登板で満額支給となれば、メジャーでも極めてまれなケースと言っていい。

 その一方で、古巣ドジャースへの愛着も持ち続けてきた。06年、マイナー契約からスタートし、抑えとして定着。3年間で81セーブを挙げ、07年にはオールスターにも出場した。「LAはメジャーの出発点。感謝していますし、大好きな球団に変わりはないです」。ただ、昨季は右ヒジ痛の影響もあり、リーグ優勝決定シリーズではロースターから外れるなど、消化不良のまま、シーズンを終えた。「必要とされるチームでやりたい。リーグも違うし、これもいい機会だと思いました」。自ら納得した上で、移籍先を探した。

 レ軍では、年下の松坂、岡島と同僚になる。「年齢に関係なく、教えてもらうことは多いと思います。彼らに気を使わしたくないですね」。新天地で再スタートを切ることもあり、背番号も一新。2009年の第1歩にちなんで、少年時代からあこがれていた元ロッテ村田兆治氏(日刊スポーツ評論家)の現役時代の背番号「29」を選んだ。

 今後は、13日に帰国し、国内で自主トレを継続。代表候補に入っているWBCへの出場については、レ軍首脳の方針に従うことになる。「WBCは日本にとって重いものですし、契約の際に伝えました」。レ軍の判断は微妙だが、出場となればひと足早く松坂とのタッグが実現。WBC、Wシリーズと2つの「世界一」へ向けて、斎藤の目標が定まった。