MLB公式サイトが6日、先発投手のパワーランキングを発表しました。ドジャース大谷翔平投手が前回の7位から順位を上げ、何と1位にランクイン。「これまででマウンドでは最高の状態だ」と評しています。
何しろ、今シーズン6試合に先発した時点で両リーグトップの防御率0.97をマーク。大谷が投手として好調な理由の1つに「投手専念」のピッチングも挙げられると思います。
なぜなら、投手専念の時は4月28日に中5日でチーム移籍後最多の104球をマーク。5月5日は3年ぶりに7回を投げ切るなど球数もイニング数も増えているからです。
また、4月15日に5年ぶりの投手専念で登板した時は、最速100.4マイル(約161.6キロ)のフォーシームを軸に3年ぶりの2ケタ奪三振をマーク。5月5日には今季最速の101マイル(約162.5キロ)を計測するなど、明らかにリアル二刀流の時よりも球速が増し、多くの三振を奪っています。
デーブ・ロバーツ監督が大谷を投手専念で起用する最大の理由は体への負担を減らし、健康状態を維持することにあります。
それと同時にチームは投手陣だけでなく野手陣も豊富な戦力を擁しているので、なるべく控え選手を使いたい考えもあるからだと思います。
中でも、最大の目的はメジャー2年目のダルトン・ラッシング捕手です。今シーズン最初の8試合で打率4割4分4厘を残し、何と7本塁打をマーク。ウィル・スミスの控え捕手としてベンチに置くにはもったいないほどパンチ力があり、実際に大谷が投手専念の時は3試合全てDHとして起用されています。
今後もムーキー・ベッツ遊撃手ら主力選手がけがから復帰すると、ますます厚い選手層となり、控え選手にとって試合に出るのは容易でありません。そこで大谷が先発登板するときはなるべく投手に集中してもらい、控え選手たちに少しでも試合慣れさせたい、ドジャースだからこそできる一石二鳥作戦です。
その一方で大谷が投手に専念すると得点力低下という問題も出てきます。ロバーツ監督は相手チームや先発投手の実力を見ながら判断しています。それでも、実際に大谷が先発登板したときは1試合平均わずか1.8得点しか援護なく、意外にも直近9試合でチームが2勝7敗と大きく負け越す結果になっています。
援護が少ないのは、ある意味エースの宿命といえます。メジャーでは「エースが投げると試合のテンポも良くなり、相手投手も好投。従って投手戦になり、味方の援護が少なくなる」と言われています。最たる例は2018、19年と2年連続サイ・ヤング賞に輝いた当時メッツのジェーコブ・デグロム投手(レンジャーズ)で、特に18年はナ・リーグ1位の防御率1.70ながら味方の援護がなく、10勝しかできませんでした。
我々ファンとしては大谷のリアル二刀流が見たいと同時に、投手専念でより力感あふれるピッチングも見たく、サイ・ヤング賞も目指して欲しいです。今後もロバーツ監督は大谷が最高のパフォーマンスを演じ、なおかつチームが勝つためにベストな方法を考えていくと思います。
【大リーグ研究家・福島良一】(ニッカンスポーツ・コム/MLBコラム「福島良一の大リーグIt's showtime!」)




