<ヤンキース15-0メッツ>◇14日(日本時間15日)◇ヤンキースタジアム

 【ニューヨーク=大塚仁】ヤンキース松井秀喜外野手(35)が「サンタナKO弾」で歴史的大勝に貢献した。4点リードの4回にメッツのエース、ヨハン・サンタナ投手(30)から右翼席に10号2ランを放ち、2年ぶりの2ケタ本塁打をマーク。04年に31本塁打した時以来のペースでもある。勢いづいたヤンキース打線はこの回9点を挙げてサンタナをKOし、本拠地では56年ぶりという15-0の大勝を飾った。

 松井の今季一番といっていい当たりは2度のサイ・ヤング賞に輝く大エースからだった。4-0の4回無死一塁。制球に苦しむサンタナがカウント1-2から投げた内角高めの90マイル(約144キロ)速球を完ぺきにとらえた。「甘く入ってきた球をしっかり打てた。追加点が入ったのはチームにとっても大きかった」。メジャーでは2年ぶり5度目の2ケタ本塁打となる10号2ラン。サンタナに過去18打数6安打という相性の良さを再び発揮した。

 この1発でリードを6点に広げるともう打線の勢いは止まらなかった。この回だけで9点を奪い試合を決めた。ヤンキースの15点以上を奪っての完封試合は32年ぶり、本拠地では53年8月4日のタイガース戦以来56年ぶり。歴史的な圧勝劇となった。

 サンタナからの本塁打は07年7月4日以来2年ぶり2本目。このときは13本塁打を放って月間MVPを獲得しており、その1本目となったのがサンタナからの1発だった。「自分自身の状態も似てるといえば似てるかもしれない。悪くて少しずつよくなってる途中、という感じだった。この後もそうなればいいな、という感じですね」。気持ちも前向きになってきた。

 8回には巨人時代に10本塁打を放ったメッツ高橋と対戦し、空振り三振に倒れた。「最後のストレートは非常に力もあったしコースも良かった」。それでも3打数1安打2打点2四球と大勝に大きく貢献。8日からのバースデーウイークは18打数6安打、2本塁打5打点と上々の内容で締めくくった。

 今季はDHでしか出場していないが、19日からはDHのないナ・リーグ主催の交流戦が待っている。試合前にはジラルディ監督が見守る中、これまでより動きの多い外野守備練習をこなした。「まだ完ぺきじゃない。もうちょっと確かめたいこともあります」と慎重に言葉を選んではいるが、「だいぶ動けるようになってきた」と手ごたえもつかんでいる。同監督も「松井の体の状態はいい。金曜日(19日)まで見てみたい」と話した。上り調子の打撃を維持できれば、いよいよ松井の守備復帰、そして完全復活が見えてくる。