<マーリンズ6-14アストロズ>◇12日(日本時間13日)◇ランドシャークスタジアム

 【マイアミ(米フロリダ州)12日(日本時間13日)=山内崇章】アストロズ松井稼頭央内野手(33)が、今季3度目の1試合3安打の猛チャージで日米通算2000本安打に王手をかけた。マーリンズ戦に「8番二塁」で先発フル出場。2本の二塁打を含む4打数3安打で大台まであと1本に迫った。この日まで異例の14試合連続出場。ア軍クーパー監督は、疲労具合を懸念しながらも13日(同14日)の先発起用を明言。プロ16年目で到達する区切りの一打に全力を注ぐ。

 ベース上では硬い表情を崩さなかった松井だが、私服姿で報道陣の真ん中に立つと、ほおが緩んだ。7月28日以来、今季3度目の3安打。左打席から左中間への二塁打を2発飛ばした。2000本へあと1本に迫った喜びと同時に、イメージ通りに反応した打撃が気分を高揚させた。

 松井

 今日3本打てたことは自分にとっても大きいですね。4、5打席目に左方向に強い打球が打てたのは良かったと思います。

 4回第2打席は、2-1からひざ元へのスライダーを一、二塁間へ運んだ。見逃せばボール球も、巧みなバットコントロールで対応。これで勢いに乗った。

 6回の4打席目は外角高めの直球に反応。上からたたく意識で振り切った打球は左中間フェンスを直撃した。5打席目は外のスライダーを左中間へ飛ばす二塁打。3安打とも2ストライク以降の勝負を制したことに「追い込まれてからいろんなボールに対応できるように準備していた」と、充実した表情だった。

 前夜は、西武在籍時に監督を務めていた東尾修氏(野球評論家)とマイアミ近郊の焼き肉店で会食した。「3年目で左打席を始めて、バットも満足に振れなかった自分を黙って使い続けてくれた。監督の我慢がなければ今の自分はなかった」。技術的な話より昔話で笑わせ、勇気づけてくれた恩師の親心を感じ取った。

 1999本目を三塁側ベンチで見届けたア軍クーパー監督は、13日の先発起用を即決した。ここまで14試合連続出場。通常は週に1度の休養日が設定されるが、こちらも親心をのぞかせた。「カズの日本でのキャリアを尊敬している。早く記念のヒットをこの目で見たい。明日カズが先発しないと日本メディアが困るだろう」と笑った。3本打った松井に硬さはない。「いつも通り準備して臨みたい」。多くの人に支えられた野球人生に感謝して、記念の1本を刻み込む。