<ナショナルズ5-2パイレーツ>◇8日(日本時間9日)◇ナショナルズパーク

 大リーグの超新星がベールを脱いだ。09年のドラフト全体1位で入団したナショナルズのスティーブン・ストラスバーグ投手(21)が8日(日本時間9日)、本拠地ワシントンで行われたパイレーツ戦で初先発した。初登板でのメジャー記録にあと1と迫る14三振を奪い、7回を4安打2失点で初勝利を挙げた。地元テレビ局のスピードガンでは最速103マイル(約166キロ)を記録。5回途中から7回まで7者連続三振で締めくくるなど、評判通りの実力を披露した。

 メジャーデビュー戦で底知れない才能が全開になった。「もっと緊張するかと思ったけど、試合が進むにつれ体がほぐれてきた」というストラスバーグの直球は、回を追うごとに威力を増した。球場表示の最速は100マイル(約161キロ)だったが、中継した地元テレビ局のスピードガンの数字は徐々にアップ。3回に最初の100マイルを計測すると、全94球のうち100マイル以上が6球。7回、先頭ジョーンズを迎えた87球目は103マイルと表示された。

 緊張するデビュー戦で、サンディエゴ州立大時代に記録した最速103マイルをマーク。5回2死からは7者連続三振を奪ったが、2人目以降は浮き上がるようなボールで空振り三振だった。4回、通算13本塁打という伏兵ヤングに中途半端なチェンジアップを投じて逆転2ランを浴びたが、剛腕にありがちな制球難はなく無四球。奪三振王ライアン(元レンジャーズ)を知る名捕手ロドリゲスは「多くのボールを受けてきたが、この若者は信じられない」とうなった。

 1週間前に本拠地デビューが発表されると入場券は即日完売。普段は空席が目立つ球場が、開幕戦以来となる今季2度目の大入り満員(4万人)となった。報道陣はワールドシリーズ並みの約200人が押し寄せた。全米の注目を浴びた21歳は、チームの勝利が決まると、ひげそりクリームの特製パイで手荒な祝福を受け、「初球だけで、あとはよく覚えていない。結婚式もこんな感じなのかな」と初々しくコメントした。

 次回から打力のあるア・リーグ勢との交流戦が続く。過去5年で地区最下位が4度、09年まで2年連続メジャーワースト勝率に沈んだナショナルズの救世主となれるか。全体1位でプロ入りした投手は14人目だが、200勝もサイ・ヤング賞も新人王もいない。超大物新人は、そんなジンクスとの戦いも始まった。