楽天からフリーエージェント(FA)でマリナーズに移籍した岩隈久志投手(30)が、日本人報道陣を前に異例の英語スピーチを披露した。6日、都内で記者会見を開き、「プリーズ・コール・ミー・クマ」と覚えたての英語で意気込みを語った。マリナーズと1年契約で年俸150万ドル(約1億1250万円)出来高払い340万ドル(約2億5500万円)で合意。背番号は自ら希望した「18」に決まり、3月28、29日のアスレチックスとの開幕カード(東京ドーム)で開幕投手を狙うと宣言した。

 記者会見場を埋めた約60人の報道陣を前に、岩隈がいきなり英語で切り出した。「マイ・ネーム・イズ・ヒサシ

 イワクマ」。思わずどよめく日本人報道陣をよそに、流ちょうなスピーチは続いた。海を渡ったアスリートが外国人記者の質問に英語やイタリア語で答えるシーンはしばしば見かけるが、日本人相手に英語で意気込みを語った選手は初めてといっていい。それもそのはず。2年越しのメジャー移籍の夢がかない、期待と興奮を抑え切れなかったのだろう。

 「メジャーでは1年間ケガなくやること。中4日、中5日でも回れるように、30試合出場が目標です」と頼もしく話した。発奮材料もある。年俸は150万ドルと楽天時代の3億円から大幅ダウンしたが、出来高は総額340万ドルついた。内容は(1)先発試合数(20試合から発生し30試合到達で満額クリア)(2)イニング数(140イニングから段階的に加算され200イニング到達で満額クリア)(3)サイ・ヤング賞、オールスター出場など。勝利数より、先発としてローテを守り、試合を作ることを要求されている。

 昨年5月に痛めた右肩も「異常なし」と診断された。FA宣言後、マリナーズ側が肩の状態を不安視していたというが、昨年12月に現地で行ったメディカルチェックと精密検査で問題はなかった。岩隈は「今の状態でもブルペンで投げられるところまできている」と自信を見せた。今後は仙台で自主トレを行い、1月下旬に渡米してシアトルでのファンミーティングに出席予定。そのままキャンプに突入し、メジャー球や硬いマウンドなど環境の変化に対応していく。

 「強い気持ちで戦って、日本の皆さんに明るいニュースを届けたい。特に7年間お世話になった仙台の皆さんの希望になれるように頑張りたい」。震災復興に立ち上がる第2の故郷への思いは忘れていない。日本でのマ軍開幕戦についても「そこは狙っています。そこを目標にアピールしていきたい」と気合十分だ。開幕戦のヒーローインタビューで岩隈の流ちょうな英語スピーチが聞けるかもしれない。【鳥谷越直子】

 ◆岩隈の英語スピーチ

 My name is Hisashi Iwakuma. Please call me Kuma. I am very excited to become a member of Mariners. I want to contribute for the team's success with my family and Mariners fans. Thank you.(私の名前は岩隈久志です。クマと呼んでください。マリナーズの一員になれてとても興奮しています。私の家族やマリナーズファンとともにチームの勝利に貢献したいと思います。ありがとう)