【サプライズ(米アリゾナ州)23日(日本時間24日)=高山通史】レンジャーズ・ダルビッシュ有投手(25)が強気発言の連発で、新天地での第1歩を踏み出した。バッテリー組がキャンプインして本格始動。ブルペンでの投球練習、不慣れな打撃投手を務めた練習終了後、同地入りして初めて会見を開いた。「まぁ、何となくやれそうな気はします」などと成功を確信している本音を吐露。個性全開のマイペースの独演会で決意表明した。

 記者会見では「普通」を連呼したダルビッシュだが、初日から変化があった。ブルペンと打撃投手で投じた全32球のうち、ウエストで外した2球を除いて、大きく両腕を振りかぶるワインドアップ投法で投げた。ここに進化を求める姿勢が見えた。

 日本ハム時代は無走者の場面でも、基本的にセットポジションから投げていた。入団当初は制球難も抱えていたこともあり、フォームが安定しやすいセットを「暫定的」に選択してきたのだろう。それで抑えられた。

 しかし、メジャーでは初日に選択したワインドアップを優先すると思われる。フォームの精度に不安がなくなり、パワー投手の王道というフォームを選べる。それはダルビッシュにとって大きな意味がある。

 プロ2年目から肉体改造に取り組んできたダルビッシュは、昨オフ体重を約10キロ増やした。開幕当初は新ボディーの操縦法に試行錯誤したが、シーズン途中に「動かし方が分かってきた」と確信すると、試験的にワインドアップを取り入れていた。進化した体には、こちらのフォームがマッチするという手応えがあったのだろう。この日の会見でも、その手応えに触れている。

 「もう1回、体重を増やして3キロくらい増やした状態でシーズンに臨もうと思ったんですけれど、途中から重く感じたので落とした。去年と同じくらい(100キロ前後)の体重ですし、去年よりいい球が投げられると思います」

 守りの姿勢で選ぶならセットポジション、攻めなら伸びしろが期待できるワインドアップといえる。ダルビッシュの取材は今季で8年目。このままワインドアップで投げていくならば…未知の快速球が見られる可能性がある、と思った。