<アストロズ7-8レンジャーズ>◇11日(日本時間12日)◇ミニッツメイドパーク

 レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が両リーグトップに並ぶ6勝目を挙げた。渡米後初めて同じ打者に1試合2本塁打を浴びたが、7回を3安打8奪三振3失点と粘投。6回にはメジャー2年目で通算300奪三振を記録。37試合目での到達は、メッツで活躍したグッデンに続くスピード到達。チームは3連勝となった。

 敵地でのアストロズ戦といえば、開幕2戦目に完全試合まであと1死と抑え込んだ記憶がよみがえる。立ち上がりから7者連続凡退後、ドミンゲスにソロ弾を浴びるなど展開は違った。しかし見せたのは、投手としての幅の広さ。キレのあるカットボールとスライダーで三振の山を築いた前回対戦とは違う。「これといって特にいい球はなく、全体的に普通だった」と事もなげに話したが、ホームベースの両端を有効に使った。

 シーン(1)

 2回先頭で左打者カストロを迎える。3ボールからフルカウントまで持ち込んでの6球目。みぞおち付近の内角へ飛び込んだ時速93マイル(約150キロ)のツーシーム。ボールのコースから手元で鋭く変化してストライクとなった。

 シーン(2)

 4回先頭の右打者アルテューベ。同じくフルカウントからの6球目に内角を攻めたが、最後はスライダーを選択。アルテューベは内角ボール球と判断し、やや後ずさりしながら見送ったが、ボールは小さな弧を描いてストライクゾーンに収まった。

 いずれも見逃し三振。ツーシームは左打者の外角と右打者の内角、スライダーは右打者の外角と左打者の内角に投げることが多かった。各球種を内外角に散らばらせることで、打者に的を絞らせない工夫をした。

 今春キャンプで、史上屈指の名捕手で、レンジャーズGM特別補佐を務めるイバン・ロドリゲス氏から内外角の有効活用をアドバイスされた。

 ロドリゲス氏

 内角一辺倒でも、外角一辺倒でもダメだ。ストライクゾーンを大きく使うことが大切。4月のアストロズ戦では、それが見事にできていた。もともと球種が多いんだ。ゾーンを大きく使えれば、さらに投球の幅が広がる。

 ダルビッシュも「僕のスタイルを気に入ってくれたようで、よく声をかけてもらいます。ありがたいですね」と大歓迎だ。

 日本の一流からメジャーの一流へ。偉大なる先人たちの「智慧(ちえ)」を吸収しながら、成長し続けていく。【佐藤直子通信員】

 ▼ダルビッシュはメジャーでは02年シリング(Dバックス)以来となる、シーズン8登板目で80奪三振に到達。シーズン換算では320三振を超える量産ペース。いずれもグッデンが持つ通算400K(46試合)、同500K(61試合)のスピード到達記録の更新も夢ではない。