マー君に「金言」が授けられた。ポスティングシステムを使って楽天からヤンキースに移籍が決まった田中将大投手(25)が28日、コボスタ宮城で自主トレを行った。ウエートトレーニングルームで、メジャー経験者の先輩である斎藤隆投手(43)からメジャー式ルーキーの心得を授けられた。同じくメジャー経験者の松井稼頭央内野手(38)からも、間接的にアドバイスを送られた。

 メジャーって、意外と体育会かも!?

 田中は午前中からコボスタ宮城の室内練習場で体を動かした。大リーグ球でキャッチボールを終えると、ウエートルームのある奥へ向かった。そこで偶然、この日から仙台で練習を再開した斎藤と会った。メジャー7年で通算338試合に登板した先輩だ。会話は、自然とメジャーの話題に。「言いたいことが、いっぱいあった」という斎藤が、一端を明かした。ずばり「僕が知る限りのルーキーの心得ですよ。あいつに“ルーキー”という点を注入しました」。

 田中には日本球界7年間の経験と実績がある。とはいえ、米球界では1年目。当然、ルーキーとして扱われる。斎藤いわく「田中も知らないであろうルーキーの仕事を伝えました」。一例として、遠征時の役目を挙げた。「飛行機に乗る時、新人は先輩たちの水やビールを持っていかないといけないんです」と、日本ではあまり知られていない事実を明かした。経験者ならではのアドバイスを、田中は熱心に聞いていたという。もっとも、斎藤は「しっかりしているから大丈夫。田中なりの1年目の過ごし方もあるでしょう」と心配はしなかった。

 もう1人、アドバイスを送ったのが松井稼だ。同じく、この日から仙台で自主トレ再開。田中への助言として、おなじみの行事を挙げた。ルーキーは、どこかの遠征時に仮装をさせられるのが恒例となっている。自身はスパイダーマンに扮(ふん)した松井稼は「スーツを取られるから、(仮装の衣装を)着るしかないよね。でも、バカなことをやるのも、チームに受け入れられたということだから」と解説。田中が何に変身させられるかは知る由もないが、恥ずかしがらないのが肝心というわけだ。

 練習を終えた田中は、大リーグ球に慣れたか聞かれ「普通ですよ」と言った。着々と準備を進めるマー君にも、先輩たちの助言はきっと役立つはずだ。【古川真弥】<暗黙ルール>◆フィールド編(投手の場合)(1)三振を奪った後に過剰な喜びを表現するような表情やガッツポーズをしてはダメ。(2)味方野手が失策や軽率なプレーをしたとき、表情に出したり野手をにらんではダメ。(3)回の途中で降板させられるとき、マウンドに来た監督に直接ボールを渡し、その回が終わるまでベンチにいなければならない。(4)先発登板する日は、ベンチで座る場所を好きに選ぶことができ、野手とは離れて座る。(5)味方打者が死球をぶつけられたら相手打者にぶつけ返す。(6)報復の死球を投げるときは、頭やその付近は避ける。(7)乱闘が起こったときは、すべての選手、コーチらがフィールドに飛び出さなければならない。◆新人マナー編(8)開幕時に新人を交えてみんなで食事に行くときは、その中の最高年俸の選手がおごる。(9)試合中に飲み物やガムを取りにクラブハウスに戻るとき、先輩に必要なものはないかを聞いてから行く。(10)遠征で移動の飛行機やバスに乗るときは、ベテランが席に着くのを待って最後に空いている席に座る。(11)移動中の飛行機の中などでは、お酒を先輩に運ぶのが新人の仕事の1つ。(12)移動中の乗り物の中では、先輩から歌や芸を披露するようせがまれることも多く、そのための準備をしておくと良い。(13)どこの球団でもシーズン終盤の遠征の際に、新人に仮装をさせるという儀式がある。◆ヤンキース編(14)ヒゲは厳禁。ただし鼻の下だけは紳士的なものとして認められている。(15)ヤ軍の場合、新人の仮装はシーズン最後の遠征に出掛けるときと決まっている。(16)遠征のためバスに乗る際は、主将ジーターを待たせてはいけないのでジーターより先にバスに乗り込む。(17)ジーターは新顔がチームに入ったときにあだ名をつけたがるので心得よ。(18)練習中などに帽子を後ろ前にかぶる「グリフィーJrスタイル」は他球団ではよく見るが、ヤ軍ではしない。(19)クラブハウスで飲食をする球団は多いが、ヤ軍のホーム・クラブハウスではしない。(20)スター選手はクラブハウスのスタッフにチップを弾む。かつてクレメンスはシーズン最終日に1人3000ドル(約31万5000円)、ポサダは7000ドル(約73万5000円)を渡したことがある。