<ア・リーグ優勝決定シリーズ:ロイヤルズ2-1オリオールズ>◇第4戦◇15日(日本時間16日)◇カウフマンスタジアム

 ア・リーグ優勝決定シリーズで王手をかけていたロイヤルズが、オリオールズに競り勝ち、4連勝で85年以来29年ぶりのワールドシリーズ(WS)進出を決めた。

 開幕前は「伏兵」だったロイヤルズが、リーグ制覇するという予想は、ほとんど聞こえなかった。WS出場を決めたこの日のスタメンでは、青木、インファンテの2人が最年長の32歳。24歳の主砲ホスマー、正捕手ペレスをはじめ、20代中盤の若い選手が大勢を占めており、潜在能力はあってもポストシーズンを勝ち抜けるほどの安定感があるかは、疑問符がついていた。

 だが、フロント陣はシーズン中から手を打っていた。ロ軍OBの41歳イバネスをはじめ、ウィリンハム、ニックスら渋い働きに徹するベテラン勢を随時補強。若く、勢いのあるチームに、我慢強く、人徳あふれる「兄貴分」「ご意見番」の存在を加えた。これでチーム内のバランスがよくなった。

 たとえ勝ち星が増えても浮かれることなく、追い込まれても冷静に-。

 育成過程だったロ軍が、覇権を争うほどのチームに変貌できた裏に、彼ら「お目付け役」として裏方に徹してきたベテランの存在は欠かせなかった。その点は、米球界でもさほど語られていない。イバネスらベテランは、いずれも今シリーズでは出場選手登録されてはいない。表に出ない実力者がいるチームこそ、実は、本当に強い。【メジャー担当・四竈衛】