ヤンキースからFA(フリーエージェント)となったイチロー外野手(41)の移籍交渉が、いよいよ本格化する。2日、都内のホテルで行われた佐々木主浩氏(46=日刊スポーツ評論家)の殿堂入りパーティーに出席。同氏から「納得いくまでやってほしい」と激励を受けた。米国時間8日(日本時間9日)から始まるウインターミーティングで複数球団との本格交渉へ移る見込みだ。

 グレーのスーツ、紫のネクタイ姿で壇上に姿を見せたイチローは終始、笑みを浮かべ、そして先輩の激励に大きくうなずいた。マリナーズ時代、一緒にプレーした佐々木氏を「おめでとうございます」と祝福すると、逆に「納得いくまでやってほしい」と声をかけられた。来季でメジャー15年目。現時点で新天地は決まっていないが、メジャーでプレーする決意は変わっていない。佐々木氏に笑顔を見せた一方で、その眼光はシーズン中のように鋭さを帯びていた。

 来季へ向けた準備は、着実に進めてきた。プレーオフ真っ盛りの10月初旬から早々とニューヨーク市内で単独トレーニングを再開した。公式戦終了後は公の場に姿を見せることは控えてきたが、この日は神戸での自主トレを終えて上京。公私で親交の深い佐々木氏に、花束を贈呈した。それでも、一両日中には再び神戸で練習を行う予定だ。

 FA市場の外野手部門では、カブレラ(ブルージェイズ)、マーカーキス(オリオールズ)らランク上位の動向が活発化しておらず、移籍交渉は初期段階。もっとも、イチローに対しては、早い時期からダイヤモンドバックスをはじめ、アストロズ、パドレスなどが興味を示してきた。具体的なオファーにはいたっていないものの、市場が動きだせば交渉は一気に加速する見込みだ。

 今オフ、幅広い人脈と実績を持つジョン・ボッグス氏と代理人契約を結んだ。メジャー球界で移籍交渉が本格化するのは、8日からサンディエゴで開催されるウインターミーティング以降。プレー機会さえあれば、来季中にメジャー通算3000本に到達する可能性も十分ある。41歳で迎える来季へ向けて、イチローの準備にぬかりはない。