侍ジャパンが今日10日からの欧州代表との強化試合2連戦(東京ドーム)に向け、QVCマリンで全体練習を行った。あいにくの雨で室内練習場での調整。初戦の先発を託される大瀬良大地投手(23)は学んでいる“黒田スタイル”での全力投球を誓った。左翼で4番を務める中田翔内野手(25)や、代表トップチーム初招集の松井裕樹投手(19)ら26選手は精力的に汗を流し、今年の小久保ジャパン初戦に備えた。

 柔らかい表情の奥底に、大瀬良の侍魂が宿っていた。広島にドラフト1位指名された直後の13年11月以来、1年4カ月ぶりの代表。「学生時代は経験させてもらった感じ。今回はしっかり選んでもらえたと思う。遊びにきたわけじゃない。ベストピッチで勝利に導きたい」と力を込めた。

 今日10日の欧州代表戦は先発で3回を投げる予定。理想像はドジャース、ヤンキースで主戦を務めた黒田のオーラだ。8年ぶりに広島復帰した大先輩は前日8日、ヤクルトとの初実戦で4回1/3を完全投球。わずか39球の快投を一塁側ベンチから見届けて、感銘を受けた。

 「本気で投げているようには見えなかった。マウンド、球場全体を支配しているように感じた。マウンドに上がる背中を見て、いずれはこういう投手になりたいなと思いました」

 2月28日の日本ハムとの練習試合で3回2被弾3失点と打ち込まれた直後、黒田からメンタル術を教わった。沖縄キャンプ中の1日には「最後の最後に人さし指をちょっと(縫い目に)かけるイメージ」とツーシームのコツを伝授された。「全然投げられなかったのに、黒田さんの握りにしたらすごく動いた。余裕があれば今回、投げてみたい」。最近ではヤンキース時代のウエアも贈られるなど、着々とエキスを吸収中だ。

 東京都内の宿舎に入った前日8日は合同自主トレを共にした藤浪と食事へ。全体練習中にはフレッシュ侍の又吉、武田、松井裕らと談笑し、刺激し合った。前回の侍ジャパンでは台湾戦で2回無失点。今回も結果を残せば、17年WBCへの道が一気に開ける。「侍ジャパンの誇りとプライドを持って、力を出し切りたい」。大瀬良侍が満を持して本格始動する。【佐井陽介】