2軍降格危機の中日高橋周平内野手(21)が9日、マシンで1000球を打ち込んだ。休日のナゴヤ球場室内練習場でひとりぼっちの特訓を実施。延々と2時間以上も打撃マシンに向かった。オープン戦の打率は1割3分6厘。現状では三塁レギュラーどころか、開幕1軍も危うい状況にある。崖っぷちに立つ背番号3が、最後まで食らいつく覚悟を見せた。

 薄暗い室内練習場に鋭い打球音が響く。午後1時ごろに始まった高橋周のマシン打撃は、ほぼノンストップで2時間も続いた。今春キャンプ中に完成した地面を傾斜にして球を循環させる新型マシンは、およそ7秒に1球の間隔でボールが発射される。2時間で約1030球。「調子が悪くても良くても練習はしないといけないんで」。ぶっきらぼうな口ぶりとは裏腹に、気持ちのこもったスイングが続いた。

 追い込まれた。オープン戦の成績は7試合に出場して22打数3安打1打点、打率1割3分6厘。前日8日の楽天戦(倉敷)では、2度の満塁機で凡退するなど5打数無安打と冬眠状態が続く。「タイミングもいいんですけど、打ってみたら思ってる打球じゃない」。浮上のきっかけをつかみたい。その思いが2時間もマシンに向かわせた。

 1年前の悪夢が頭をよぎる。谷繁新体制の目玉として遊撃で使われ続けたがオープン戦19打数2安打の大不振。守備のミスも重なる悪循環で、3月10日の広島戦後に2軍落ちを通告された。1軍初昇格は7月までずれ込んだ。本職の三塁で臨むプロ4年目。昨季の二の舞いだけはどうしても避けたい。練習後は「使ってもらっているんで、自分で何とかしないといけない」と決意を語った。

 試練の10番勝負に突入する。3・27の開幕戦までオープン戦は残り10試合。チームはさまざまな戦力を試す“お試し期間”から“本気モード”に切り替わる時期だ。ここまで6試合でスタメン出場してきたが、今後も同じように打席を与えられる保証はない。生き残るためには結果で力を証明するしかない。1打席、1球が運命を分ける。若き背番号3が正念場を迎えた。【桝井聡】