巨人が、得意の“足攻”でソフトバンク松坂大輔投手(34)攻略の手本を示した。オープン戦で松坂が先発した1回から3イニング連続で二盗に成功。3安打ながら2得点に結び付け、効率よく攻めた。昨季はリーグトップの102盗塁をマーク。原辰徳監督(56)が「スキあらば、というところですね」と評した“スピード野球”が、今季も勝負を決する攻めの一手になっていく。

 スタートを切った瞬間、勝負は決まった。1点リードの3回無死一塁、一塁走者の巨人片岡は松坂のフォームを完全に盗み、さっそうと二塁ベースに滑り込んだ。「いいタイミングでスタートが切れた」。1回から3イニング連続でチーム3個目の盗塁に、さすがの松坂も表情を曇らせた。注目された松坂との初対決。繰り出したのは得意の“足攻”だった。

 リーグ3連覇中の巨人が、少しのスキを見逃すはずがなかった。口火を切ったのは、松本哲だった。1回、粘った末に四球で出塁。次打者・片岡の2球目にスタートを切った。2つの内野ゴロの間に本塁に生還。2回には中前打で出塁の橋本が二盗を決め、寺内の適時打で2点目のホームを踏んだ。原監督は「スキあらば、というところですね」と評価。松坂の脳裏に、「巨人=足」のイメージを植え付けた。

 昨季は、リーグトップの102盗塁を決めた。数も特筆すべきだが、この日決めた3盗塁のすごみは内容だった。ともに次打者の3球目以内。洞察力の高さ、普段からの準備が成功を導いた。「速いクイックもあったけど、足をポンッと上げていたのでいけると思った」(橋本)。ベンチから、塁上から目を光らせ、その一瞬に勝負をかけた。

 原監督も胸を張るスピードスター集団が、ベンチには控える。札幌から大阪への移動日だった5日、日本ハム打線のスピードに話が及んだ時だった。原監督は「うちだって速いぞ。リレーだったら、負けないよ。尚広(鈴木)、マツ(松本哲)、片岡、橋本だろ? 泰示(大田)、テラ(寺内)、立岡だっているぞ」と対抗した。純粋なスピード力と一瞬を制するための準備。“スピード野球”が、今季も相手バッテリーに重圧をかける。【久保賢吾】