右肘痛でスロー調整中の日本ハム・ドラフト1位有原航平投手(22=早大)が、圧巻の投球を披露した。13日、2軍本拠地の千葉・鎌ケ谷での練習でプロ入り後初めて打撃投手を務めた。打者2人に対し、この日最速148キロの速球を軸にカットボールなどの変化球を交え、安打性2本に抑えた。順調なら17日にシート打撃に登板。22日のイースタン・リーグ西武戦(鎌ケ谷)での実戦デビューに向けて大きく前進した。

 異彩を放った。有原がマウンドで、秘めていた存在感を光らせた。ドラフト3位浅間大基外野手(18=横浜)への初球。「自分の中で、腕が触れている感覚があった」。打者を微動だにさせなかった直球は、この日最速148キロを計測した。「久々に投げられたのは純粋に楽しかったですし、安心しました」。フッと息を吐き、笑顔を見せた。

 底知れぬ能力の高さが、42球に散りばめられていた。1人目の打者市川には直球14球、カットボール6球の計20球。許した安打は、右中間フェンス直撃の1本だけだった。市川は、巨人時代にコンビを組んだことがある菅野を例に挙げ「菅野よりはドーンという感じ。投げ方もそうですけど、いきなりボールが出てくる」と感嘆の声を上げた。2人目の浅間には直球にスライダー、ツーシームを交えて22球を投げ左前への安打性1本。打者2人に計42球、安打性の当たりは2本に抑える好投を見せた。

 復活へ前向きな兆しを示した。打撃投手の前にはブルペンで約20球。打撃投手と合わせて60球以上を投げ込み、右肘痛からの回復は順調。「(力加減は)7、8割くらい。ちゃんと腕を振ることを考えていた」。打者との対戦は昨年10月の東京6大学リーグ早慶戦、力を入れての投球は同8月上旬以来だった。それでもどん欲に「まだまだ、全部のレベルを上げたい」と、さらに上を向いた。

 栗山監督は「あんなにうれしそうな、手応えみたいな表情を初めて見た。こうやって投げるようなら1軍でいける」と大きくうなずいた。張りなどがなければ17日にシート打撃に登板。順調なら22日のイースタン・リーグ西武戦で実戦のベールを脱ぐ予定。有原は「マウンドで打者に対して、あれだけ投げられた、出来るという自信を持って臨みたい」と次なる壁を、静かに心待ちにした。【田中彩友美】