開幕1軍に滑り込んだ。広島のドラフト1位野間峻祥外野手(22=中部学院大)が22日、オープン戦最終試合のソフトバンク戦(マツダスタジアム)でサヨナラ勝利の立役者となった。途中出場から安打を放つと、最後は相手捕手の捕逸の隙に本塁を突く好走塁。今季広島が目指す野球を表現した新人に、緒方孝市監督(46)は開幕1軍を明言した。

 ワンバウンドした白球が捕手の左側後方へ転がった瞬間、三塁走者の野間がスタートを切った。9回2死満塁。「フォークがワンバウンドしていたし、(捕手が)横にはじいたら行く準備が出来ていた」。好判断と足で、両軍無得点のまま推移した試合に終止符を打った。緒方監督は「ケガ人が出るとどうなるか分からない」としながらも、「開幕のメンバーには入れようと思う」と野間の開幕1軍を明言。サヨナラ勝利を決定づける本塁生還と同様に、開幕1軍に滑り込んだ。

 7回に代走で出場し、9回1死一塁で打席が回ってきた。「真っすぐ待ちでフォークを打っちゃった。いつもだったら当てに行っていたけど、振りにいった結果良かった」。バットの先で拾った打球は一、二塁間を抜けた。さらに梵の四球、田中の一ゴロの間に三塁に進むと、オープン戦最終戦勝利をたぐり寄せる好走塁。殊勲の激走に、緒方監督は賛辞を惜しまなかった。「一瞬でも(判断が)遅れたらアウトになっていたタイミングだったと思うけど、その一瞬を逃さなかったのはすごく大きい」。

 オープン戦12試合で22打数3安打、打率1割3分6厘と成績は振るわなかった。開幕1軍も、しばらくは途中出場が見込まれる。2軍に降格させて多くの出場機会を与えることも検討されたが、1軍で英才教育していくことになった。

 吉報を伝え聞いた野間は「シーズンに入ればまた違う緊張感があると思う。でもこの経験をつなげていけるようにしっかりやりたい」と気を引き締めた。

 最終戦で球団史上オープン戦最多の3万1255人が集まった地元ファンから大きな後押しを受けた。27日、広島の次世代のスター候補と期待される逸材が、シーズン開幕戦のグラウンドに立つ。【前原淳】