プロに挑んで、春にGO! 北海道学生野球連盟の旭川大が、プロ野球のソフトバンク3軍と28日、福岡・雁の巣球場で練習試合を行う。11年3月にNPB所属のプロと大学単独チームの練習試合が解禁となってから、北海道の大学チームがこの制度を利用するのは初めて。貴重な経験を力にして、春季リーグで6季ぶりの優勝を狙う。

 北海道から約1500キロ離れた初春の福岡で、旭川大が道内の大学チームで初めてプロに挑む。石田威仁監督(40)が知人の紹介で、今季からソフトバンク3軍を指導する佐久本昌広投手コーチ(40)に依頼。野球部の九州遠征中の28日に行うことが決まった。石田監督は「1試合、1球に生活がかかるプロ選手のプレーから、貪欲に吸収してほしい」と言う。

 戦前は巨人やセネタースなどが来道。函館大洋倶楽部や札幌鉄道局といった社会人と対戦して道内の野球界は沸いた。戦後、全国的なプロとアマチュアの断絶により、高校や大学はもちろん、社会人も交流を閉ざされてきたが、社会人が01年に交流試合を解禁。11年に大学単独チームとNPB所属のプロチームとの練習試合が、3月と8月の時期限定、指導は受けない条件で許可された。

 昨年のソフトバンク3軍公式戦には大隣やスタンリッジ、東浜らが登板。支配下登録選手への昇格をかける選手に加え、主力選手も負傷明けの調整などでメンバーに名を連ねることもある。石田監督は「(ソフトバンクには)コテンパンにやっつけてもらいたい。最後まで必死に食らいつくことで、(野球をする)心境に変化が出てくれば」と、技術だけでなく、精神面の鍛錬の場として期待する。

 旭川大は昨季リーグ戦で春秋とも4位。4月25日から始まるリーグ戦で3年ぶりのV奪回を目指す。主将の尾崎翼外野手(3年)が「ハングリーに野球に取り組む姿勢を学びたい」といえば、大和田尚投手(同)は「対戦も配球や組み立てを見るのも楽しみ」。北海道の大学野球界にとっても歴史的な一戦をステップに、頂点返り咲きを狙う。【中島洋尚】

 ◆大学とプロ野球チームの交流 1908年(明41)にMLB選手を含む3A中心の米国選抜チームが来日し、早大、慶大などと対戦。32年には文部省の野球統制令で、学生とプロチームの交流を禁止。戦後の47年同令廃止。49年にはサンフランシスコ・シールズが来日し、東京6大学選抜と対戦した。50年の日本学生野球憲章でプロとの試合を不認可。61年の柳川事件でプロとアマが断絶し、学生野球協会も追随した。95年に東京6大学選抜とプロOBが対戦すると、05年に元プロ選手の大学野球部監督就任を認可。09年に大学日本代表とU-26NPB選抜が対戦。当時早大の斎藤(日本ハム)と、巨人坂本の同学年対決が実現した。11年3月に大学単独チームとNPB所属のプロ球団との練習試合が解禁された。