開幕投手を務める日本ハム大谷翔平投手(20)の銅像建立プランが24日、浮上した。今季、自己最速で日本球界最速タイの162キロを更新すれば、15年度の応援大使を務める浦河町が記念イベント実施を検討しているという。関係者の間では銅像や記念碑などの製作も視野に詳細を詰めていきたいもよう。初の大役を前に、発奮材料を手にした。

 大谷が応援大使を務める浦河町で壮大な夢プランが進行していた。同町役場の関係者は「大谷選手が球速の新記録163キロを出した際に、何かできないかと考えています」と明かした。イベントなどの検討を始めた中で「銅像を建てられないか」という意見が飛び出したという。馬産地として有名な同町には戦後初のクラシック3冠馬、シンザンの銅像がある。伝説の競走馬のような偉業に、早くも期待が集まっている。

 数奇な縁が後押しする。本拠地の札幌ドームと同町役場までの直線距離が約163キロ。昨季大谷が記録した自己最速かつ日本球界最速タイの球速が162キロ。数字上は1つ違いという近似値に、同町では大いに盛り上がったという。「自分の壁を乗り越えて新記録なら、その数字と同じ距離のところで何か出来ないか」(同関係者)。さまざまな案が出る中で、前代未聞の現役選手の銅像建立計画も持ち上がった。

 本人は恐縮していたという。2日に札幌市内のホテルで行われた応援大使の決起集会。同町関係者と大谷が顔を合わせ、銅像建立プランもプレゼンが行われた。自分が銅像になるかもしれないと聞いた大谷は「そこまでは…」と苦笑い。同町は実現可能かも含め、入念に調査を重ねて盛大な祝福プランを練ることになりそうだ。

 この日、大谷は札幌ドームで全体練習に参加。ブルペンでは約60球を投げ「投げ心地も良かった」と好感触。投球練習後はフリー打撃も行った。「(体調は)問題ないです。(開幕まで)あと数日ですけど、いい形で入れれば」と、初の大役へ心身とも仕上がってきた。本番を前にサラブレッドの町から届いた熱いエールを背に、頂点を目指して「二刀流」3年目のスタートを切る。【木下大輔】

 ◆浦河町 北海道日高支庁管内の南部に位置し、太平洋に接した人口1万3269人(2月末現在)の町。総面積は694・26平方メートルでその81%を山林が占める。日本一のサラブレッドの産地で、町内には約300の牧場があり、史上初の5冠馬のシンザンなどが有名。日高昆布やサケ、マス、スルメイカが特産品。

<スポーツ選手の像>

 ◆野球 旭川育ちでプロ野球史上初の300勝を達成したスタルヒンの巨人時代の勇姿を再現した銅像が79年に同市に建立。現在は、日本で初めて人名が冠され、84年に開場した旭川スタルヒン球場の前に設置。

 ◆サッカー 茨城・鹿嶋市内のショッピングセンター内にある「ジーコ・ミニミュージアム」に、元鹿島の選手で日本代表監督も務めたジーコの等身大銅像、手形、足形が展示。

 ◆プロレス 東京都大田区・池上本門寺にある力道山の墓石は、腕を組んだ上半身の姿を再現。

 ◆マラソン 00年シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子の像が故郷・岐阜市の長良川競技場前に01年に完成。金メダルを獲得したゴールシーンを再現。

 ◆スピードスケート 98年長野五輪銅メダリストの岡崎朋美の銅像を、富士急ハイランド内に同年7月にオープンした富士急スケーターズミュージアム内に設置。

 ◆大相撲 通算最多勝利記録を持つ元大関魁皇、浅香山親方の銅像が昨年10月、出身地である福岡・直方市のJR直方駅前に完成。土俵で勝負に臨むまわし姿を表現、費用は全国各地からの寄付で賄った。