今年もオリキラーだ! ソフトバンク大隣憲司投手(30)がオリックス打線を4安打に抑え、リーグ一番乗りとなる完封勝利。自慢の制球力がさえ渡り、ジャスト100球で大補強したライバルを抑えた。自己最少の球数での完封だった。

 最後は気持ちで乗り切った。9回1死から糸井の当たりが右すねを直撃。だが「あと1人だし。骨の外側だったので大丈夫」と続投を志願。4番中島を内角135キロ直球で見逃し三振にしとめた。「いいスタートを切れたし、1年間先発ローテを守ることが最大の目標。結果で示せる立場になりたい」。自然と笑みがこぼれ出た。

 松坂がインフルエンザで倒れた3月18日に、工藤監督からカードの頭を任されることを告げられた。「自分でも、多分そうなると思っていた」。プロ9年目の男に動揺はなかった。

 昨年、国指定の難病といわれる黄色靱帯(じんたい)骨化症から復帰。だが、時おり下半身にしびれを感じる症状は、まだ完治したわけではない。「去年と状態は変わっていない。でも意識しても変わることはないし、今年はそれを忘れられるような投球をしたい」。そして、有言実行で白星をつかんだ。

 今年最初のウイニングボールは、ケースに入れて自宅に飾るつもりだ。「違う意味でまたスタートが切れた。この1勝は特別ですね」。今年こそ、1年間フル稼働-。30歳で迎えた大隣の新たな1年が、華やかに幕を開けた。【福岡吉央】

 ▼大隣が14年9月16日オリックス戦(京セラドーム大阪)に続き、このカード2度目の完封。オリックス戦では、同年7月27日(ヤフオクドーム)2回から連続30イニング無失点を継続中だ。