神がかり、福の神サマありがたや~。中日福田永将内野手(26)が単独リーグトップに立つ3号弾で巨人にトドメを刺した。7回、平田の勝ち越し打の直後、リードを3点に広げる2ランを山口から放った。森野の骨折以来、代役で一塁に座るスラッガーがまさに満開。巨人に2年ぶりのカード3連勝で、開幕3連敗の借金を一気に完済した。

 腕がちぎれんばかりのフォロースルー。この球すら放り込む。マウンドに立ちつくす巨人山口。悲鳴と歓声を切り裂く放物線の着地点は青いフェンスの向こう。悠然とダイヤモンドを回るのは、また福田だ。

 「昨日、今日とチャンスをつぶしていて、それでも使ってもらえた。何とかしたいと思った」

 山口の外角チェンジアップを左中間最深部に運べる右打者は、そういない。7回だ。平田の中前打で均衡を破った。2死後、福田はカウント2-1からフルスイング。谷繁兼任監督も腕を突き上げた。

 見事に修正した。3試合連続で5番で先発中だが、前日1日は4打数無安打。2三振に最後はハーフスイングでの併殺打。「右肩が前に出ていってしまう」と体が開く悪いクセが出た。この日も3回と5回に2死一、二塁で凡退していたが、最後にベストスイングをしてみせた。

 オープン戦で4本塁打、13打点と大当たりし、開幕後も森野の不運が重なって、大ブレーク。周囲は騒ぎ、友人から激励の声も相次ぐ。それでも自分を見失わない。カード初戦で3安打1本塁打と大暴れしたあと、巨人原監督が「対策を考えないと」とコメント。翌日の新聞で福田は読んでいたが「意識していない。変化球が多くなっているかなとは思うけど、相手ではなく、自分で崩れている」と自己分析に集中している。

 凡退して戻ったとき、打席に向かうとき。指揮官から、コーチから、そして先輩後輩ナインから「大丈夫だ。迷わずいけ!」と声が飛ぶ。福田は「本当にみんなが言ってくれるんです」と感謝する。ムードメーカー亀沢が加入し、ベンチの雰囲気は明るい。同じ88年組の福田も、ベンチのアゲアゲムードに乗って打ち続けているのだ。

 谷繁兼任監督は「日々成長している。こんなにうまくいくこともないので、もっとレベルを上げて、成長してほしい」と無限の可能性に期待する。福田が2回お立ち台に立ち、若き大砲の猛打で、王者巨人を3連破。大阪で作った借金は、最短期日で返した。竜の上昇気流は、福田のアーチが描く軌道のようにいつまでも落ちない。【柏原誠】