春の記録ラッシュだ! 西武は初回に秋山翔吾外野手(26)が先頭打者弾、2番栗山巧外野手(31)が2者連続本塁打で続き、球団31年ぶりの先頭打者から2連発の快記録を決めた。24年ぶりの開幕5連勝から昨季日本一のソフトバンクに連敗を喫した中でのカード最終戦。今季の打線の肝である1番秋山、2番栗山のAKコンビが連敗を止めた。

 歴史的なアーチが続けて宙を飛び交った。初回、秋山が中田の2ボールからの高め直球を流し打ち、左翼ポール際へ運んだ。「ビックリした。あんなに飛ぶとは」。3度目の先頭打者弾に本人が驚き、場内はどよめいた。騒然とした空気が残る中、栗山が続く。真ん中の直球を完璧に捉え「抜群だった」という感触とともに、打球は右翼席を跳ねた。31年前に石毛、辻が決めた先頭からの2連発を4球で再現し「そんな記録あるんや」と目尻を下げた。

 1番秋山は長打の欲望を捨てた。今季からグリップの位置を下げた。確実性は高まるが飛距離は落ちる。「10発よりも3割打つ方が今のチームでは役割として大事。昔は秋山さん(元西武、前ソフトバンク監督)と同じ名字であおられて3割30本30盗塁と目標を言ったこともある。でも30本は現実的に無理。自分の立ち位置がある」。開幕前、絵馬に“3割20盗塁”と記した。「この数字を残せなきゃ、この世界で生きていけない」と決意も込めた。

 2番栗山は長打の欲望を強めた。昨季は3本で西武プリンスドームでは1本も打てずじまい。「このままではダメ」とスイングでヘッドの抜け方を意識し、遠心力を高めた。選球眼が良く、待球型の打者が早いカウントからも積極的に仕掛けた。13年10月2日のソフトバンク戦以来となる本拠地での1発は「何日ぶりですかね」と待望だった。

 8回にも秋山が死球で出塁し、栗山が適時二塁打で風穴をあけた。「ザ・2番栗山です」と、おどけた。理想の2番にジーター、カノの名を挙げる主将は秋山とのコンビを「もっと試合を重ねれば連動性も出てくる」と熟成を求める。黄金時代は秋山、清原のAK砲が軸だった。秋山、栗山はタイプや役割は違う。だが現代版AKコンビが7年ぶり優勝への中心軸になる。【広重竜太郎】

 ▼西武は初回、1番秋山と2番栗山が連続本塁打。初回先頭打者から2者以上の連続本塁打は08年4月11日巨人の高橋由と亀井が記録して以来プロ野球37度目。西武では57年8月27日東映戦の高倉と豊田、84年6月20日阪急戦の石毛と辻に次いで3度目だ。秋山は3球目、栗山は初球を本塁打。4球以下で記録したのは07年7月11日ヤクルトの青木(1球目)田中浩(3球目)以来で、パ・リーグでは81年6月16日近鉄の平野(1球目)吹石(2球目)以来の速攻だった。