昨季までのヤクルトとはひと味も、ふた味も違う。同点で迎えた延長10回2死満塁。田中浩康内野手(32)の三遊間を破るサヨナラ適時打で劇的な勝利を飾った。中日の連勝を止めるとともに。チームの連敗も阻止した殊勲打。田中浩はお立ち台で「バットに当てることしか考えてなかった。チャンスがあることがうれしい」と喜びを爆発させた。

 投手陣の頑張りが光る。11戦全て失点を3点以内に抑えている。昨季は12球団ワーストのチーム防御率4・62だったが、今季はここまで12球団トップの1・45。失点も両リーグ最少の18と安定する。この日も先発石山が6回まで1安打のみの準完全投球。7回に先制点を献上したが、8回を3安打1失点にまとめた。高津投手コーチは「石山もだけど、リリーフ陣が頑張っていると書いてほしい」と褒めた。

 その言葉通り、9回から2番手バーネットが1回を無安打無失点。延長10回は新外国人のオンドルセクが3者凡退でつなぎ、来日初勝利を手にした。鉄壁のディフェンス力を高めながら、2年連続最下位という不名誉な記録ともおさらばする。【栗田尚樹】

 ▼ヤクルトが今季初のサヨナラ勝ち。これで6勝5敗となったが、開幕から11試合の失点内訳は、0点1試合、1点3試合、2点6試合、3点1試合。昨年は両リーグワーストの防御率4・62を記録したヤクルトだが、今年はまだ4失点した試合がない。開幕から11試合連続3失点以下は、56年に西鉄が13試合、阪急が11試合続けて以来、59年ぶり。セ・リーグでは61年中日の10試合を抜いて新記録となった。