左、菊池、左5人に石原、左。広島打線が昨季6敗を喫した天敵の阪神藤浪晋太郎投手(21)を攻略する糸口をつかんだ。緒方孝市監督(46)はやられてばかりでたまるかと左打者をずらっと並べた。一時は勝ち越しにも成功。セットアッパー中崎が打たれて連勝は3で止まったが、新たなオプションが加わった。借金4で単独最下位に戻ったが、いくらでも巻き返せる。

 藤浪崩しの布石にはなったはずだ。緒方監督は通算成績1勝8敗と苦戦する阪神藤浪を前に、大胆な策に打って出た。前日4安打のロサリオ、決勝打の新井をベンチに置き、4番に松山、5番に天谷を起用。昨季左打者に対して被打率3割6厘の藤浪を苦しめようと、徹底的な左攻めだ。

 「何回もやられているなかで、同じようにやられるのは悔しい。新井打撃コーチからの提案もあって、自分もそれはおもしろいと思った。自分自身も考えているところもあったので」

 藤浪キラーたちを中軸に据えた。昨季の成績は2番菊池が2割9分2厘、3番丸は5割8分3厘をマーク。4番松山が4割2分1厘、5番天谷は3割1分3厘と、得意にしていた。足で揺さぶる方針もあり、7番右翼にはドラフト1位野間を、打撃好調の安部を1番に置いた。鳴くまで待つのは性に合わない。鳴かせてみせようの起用だった。

 毎回安打を積み重ねていた打線は、2点を追う5回に藤浪をつかまえる。先頭野間が右中間三塁打で出塁し、石原が適時打。ジョンソンが送り、2死二塁から菊池の適時打で同点に追いついた。6回には先頭松山の二塁打、田中の内野安打をきっかけに、相手失策も絡んで勝ち越しに成功。細かいミスもあったが、藤浪を攻略する1つの形として見えたものがあった。

 「苦しめたのは苦しめたし、ワンチャンスをものにしてくれた。なおかつ中盤でひっくり返したしね。こういう打線のバリエーションも組めたし」

 とんとん拍子で逃げ切れればまさに「左うちわ」だったが、8回にセットアッパー中崎が逆転2ランを浴びた。連勝は3で止まり、再び単独最下位となってしまった。だが「これがうちの戦い方。使った俺の責任」と信じて起用したものを責めることはなかった。すべてを明日への糧とし、戦うまでだ。まだまだ、先は長いのだから。【池本泰尚】