ヤクルトが、今季両リーグ最長5時間20分の激闘を制した。同点で迎えた延長12回2死三塁。上田剛史外野手(26)が、三塁手飛雄馬のグラブをはじく強烈なゴロを放った。俊足を生かして必死の激走。送球より一瞬早く、一塁ベースを駆け抜けた。午後11時20分に終わった試合は、サヨナラ失策で幕を閉じた。お立ち台に上がった上田は「スタンドから早く終われという雰囲気があった。エラーですけど、僕がヒーローですか?」と観客の笑いを誘った。

 ヒーローへの伏線はあった。上田は6回の守備から途中出場し、3点を追う8回だった。1点を返し、なお2死二、三塁。同点となる2点適時打を中前に運んだ。自らのバットでチームを勢いづけた。「せっかくチームも上向いている状況なんで。何とかバットに当てればと思っていました」と笑みを浮かべた。

 まさに総力戦。ベンチ入りメンバーで出場機会がなかったのは捕手の中村、投手では古野と先発要員の石山だけだった。今季最多となる7人の継投で、踏ん張った。真中監督も「みんな本当によくしつこく粘ってくれた。やっぱり引き分けるよりも、勝てたのは大きい」とナインをねぎらった。今季最長の4連勝で、首位を快走。破竹の勢いのまま、3年ぶりに貯金を5に伸ばした。【栗田尚樹】