たった2球で勝利が消えた…。阪神の守護神、呉昇桓投手(32)が巨人戦(甲子園)で1点リードを守れなかった。9回に登板。2球で同点に追いつかれてしまい、今季初の救援失敗。最後は延長11回に安藤優也投手(37)が決勝打を浴びての逆転負け。これでチームは4月連勝がなく、6カード連続勝ち越しなし。借金も今季最多タイの4に。虎が勢いに乗れないままだ。

 1点リードの9回、呉昇桓の登場だ。甲子園が沸き上がる。よし、勝てる-。だれもがそう思った矢先のことだった。代打高橋由への初球、外角寄りの直球を中前へ運ばれた。代走鈴木を一塁に置き、好調橋本にはまたも初球、真ん中寄りの直球を二塁打された。わずか2球での同点劇。あっけにとられたような、どよめきが起こった。ここから勝負は暗転した。

 9回は何とか同点で踏ん張ったが、守護神投入の時点で、ゴメスも、マートンも、西岡も下げて守備を固めていた猛虎に再び勝ち越す力はなかった。最後は延長11回、安藤が満塁から小林に2点適時打を許して敗北が決まった。

 呉昇桓 すべてが勝負球なので仕方ないです。点を与えてしまったので何も言い訳できない。失投です。結果、打たれているので。

 試合後、今季初めて救援に失敗した守護神は報道陣に向き合って、振り返った。昨季セーブ王の絶対的ストッパーを投入して打たれた。だが、それならば仕方ない、と割り切れないものを指揮官は感じていた。

 和田監督 素直に、正直に入りすぎたな。由伸への入りが簡単すぎたな。

 マスクは梅野。9回、積極的に振ってくることで有名な高橋由への初球に慎重さを欠いたと指摘した。9回にベテラン藤井の投入を考えたか、と問われた和田監督は「あそこは考えなかった」と話した。その上で梅野を含むバッテリー部門全体で教訓を糧にする必要性を説いた。

 和田監督 もちろん、やられたことをしっかり覚えて。反省しながら次につなげていかないとね。また、一からではいかんのでね。梅野だけの責任ではないからね。バッテリー含め、バッテリーコーチ、みんなで考えていかないと。

 2年目で開幕捕手を任された男は9回について、ぼうぜんした様子で言った。

 梅野 よーいどんで打たれて、失点につながっているので、どうなんですかね…。わからないです…。

 防げる点を防げず、取れる点を取れない。歯車がかみ合わないまま、甲子園で巨人に負け越した。これで6カード連続勝ち越しなし。最下位広島とはゲーム差なしで、借金は再び4となった。【鈴木忠平】

 ▼呉昇桓は昨季全64試合中、リリーフ失敗は7度。リードしている状況から逆転されたのが5度、同点に追いつかれたのが1度、同点から勝ち越しを許したのが1度ある。昨年の初の救援失敗は自身22試合目の5月28日西武戦(甲子園)。今季はこの日が9試合目だった。