藤浪のおとこ気で勝つ! 阪神藤浪晋太郎投手(21)が今季初の中5日で明日25日の広島戦(マツダスタジアム)に先発することになった。広島先発はメジャー帰りで強烈な存在感を示す黒田博樹投手(40)が予定される。粘り強い投球での必勝を誓った右腕に、7カード連続勝ち越しがないチームの救世主役が託される。

 ぽかぽか陽気に包まれた昼下がりの甲子園。先発投手3人で行われた静かな投手練習で、藤浪が向かったのはブルペンだった。登板2日前のルーティンを黙々とこなしながら、首脳陣の思いを感じ取った。努めて冷静に。それでも言葉は熱かった。

 「カード頭(初戦)はやりがいがあります。相手もいいピッチャーが来る」

 今年初めての中5日、さらにカード初戦も今年初。7カード連続勝ち越しがないチーム状況で、先週の登板順から能見と入れ替わる形になった。投手の柱としての自覚からか、あえて相手の右腕も意識した。それが黒田だ。

 「ロースコアになると思うので、粘り強く投げたい。カード初戦は取りたいですし、できるだけ長いイニングを投げてリリーフの方を休ませられるようにしたい」

 4日前の巨人戦では142球を投げ込んだ。コンディション面を心配する声は「疲労は全然ない。あとは体調を整えるだけ」と頼もしく言い切った。黒田は日本球界復帰後4試合すべてで、6回以上で自責3以内を意味するクオリティー・スタートを達成。その難敵に投げ勝つ意志が固まった。技術面で意識するのは、被打率3割6分5厘と苦手にする左打者(右は同2割3分1厘)封じだ。

 「しっかりコーナーに投げれば、そんなに打たれることはない。右のときも一緒ですけれど、左ではさらに意識して投げたい」

 広島が自らの弱点である左打者を、ずらりと並べてくる傾向は承知済みだ。左の新助っ人シアーホルツにも「様子を見ながら苦手なところを見たい」と細心の注意を払う。すべては黒田に投げ勝ち、何よりチームの重い雰囲気を断ち切るためだ。

 広島戦は昨季、9試合に登板して6勝をマーク。この21歳は勝ち運も持っている。登板後は同じくカード初戦の5月2日巨人戦(東京ドーム)に回る予定。救世主としての「おとこ気」が試される時が来た。【松本航】