チームに非常事態が起きた。昨年10月に左足首の手術を受けて、この日1軍に初昇格したヤクルトの4番ウラディミール・バレンティン外野手(30)が、巨人4回戦で左太ももの付け根を負傷した。5回の守備で、左翼線上に上がった飛球を負う際に、痛めたもよう。今日25日に都内の病院で精密検査を受けるが、結果次第では出場選手登録を抹消される可能性も出てきた。

 陽気な男から笑顔が消えた。バレンティンが、左翼線上で両膝をついた。数秒間その場でうずくまった。5回の守備で、先頭村田の飛球が左翼線上に舞い上がった。勢いよく前進したが、途中で打球を追うのをやめた。そのまま左足をかばい、顔をゆがめながらこの回はプレーを続けたが、限界だった。6回守備から飯原と交代。真中監督は試合後「左太ももの付け根を痛めた。アキレス腱(けん)ではない」と険しい表情で話した。

 退いたバレンティンは、神宮球場に隣接するクラブハウスでアイシング治療を行い、そのまま帰宅した。川端チーフトレーナーは「以前、痛めた部分ではない。アイシングだけです」と説明。今日25日に、都内の病院で精密検査を受け、今後の対応を決める。真中監督は選手登録抹消について「可能性はゼロではない」と慎重な口ぶりで話した。

 13年にシーズン新記録の60本塁打を放った主砲にとって、この日が今季1軍初出場だった。昨年10月に左アキレス腱の手術を行い、2軍での長いリハビリを経てたどりついた。試合前には「ファンのみなさんが復帰を待っていてくれたように、僕自身も待ち望んだ」と、楽しみにしていた。

 第1打席からエンジン全開。巨人先発のポレダの初球、149キロ高め直球を空振り。明らかなボール球に、バットを振り切った。結果的に四球を選んだが、先制点の足がかりをつくり、2死一、二塁から大引の中前打の間に、二塁から本塁へ生還した。軽快に三塁を回る姿でファンを安心させていた。

 開幕23戦目での1軍初昇格、即4番で起用されたが、待っていた現実は厳しかった。1打数無安打1四球。復帰を待ち望んでいたヤクルトファンのため息が、神宮球場に漏れた。【栗田尚樹】

<バレ復帰までの経過>

 14年9月21日 左アキレス腱検査のため離脱。

 10月1日 米国の病院で左足首の手術受ける。

 15年1月20日 春季キャンプの不参加が決定。

 3月2日 来日してリハビリは順調と明かす。

 4月18日 2軍初実戦で2打数1安打1四球。

 4月21日 2軍DeNA戦でバックスクリーン弾。

 4月22日 2軍DeNA戦で初めての守備に就く。

 4月23日 真中監督が巨人戦の4番起用明かす。