首位を行く早大が明大にサヨナラ勝ちし、12年春以来の優勝に王手をかけた。1-1とされた直後の9回裏1死無走者で、石井一成遊撃手(3年=作新学院)が右翼に本塁打を放ち、決着をつけた。早大は勝ち点4、8勝1敗1分けとなり最終週(30日から)の早慶戦で1勝すれば、6季ぶり44度目の優勝が決まる。

 早大の5番打者・石井が右手を突き上げて、サヨナラ勝利を告げた。9回1死無走者。フルカウントの6球目、内角高め140キロを強振すると、一塁到達前に右手を上げた。「シンでとらえたんで、行ったと思いました」。自身初のサヨナラ弾。これが公式戦初アーチだった。

 汚名返上に燃えた打席だった。3回、2番河原からの3連打で1点を先制し、なおも無死一、二塁。石井はここでスリーバントを失敗し、三振に倒れていた。6回に右前打しても、喜べない。続く9回の打席でやっとお返しができた。「送れずにチームに悪い影響を与えた。チャンスが来いと思っていました」。

 リーグ打撃成績では4番丸子がトップ、3番茂木が2位、6番道端が3位で、そろって4割台だ。「5番がふがいないと思っていました」。石井もこれで3割6分1厘にまで上げた。早慶戦まで1週空く。「いい準備ができるかを最優先に考えたい」。王手をかけたヒーローは冷静に最終週を見据えた。【米谷輝昭】

 ◆優勝の行方 早大が早慶戦で1勝すれば、優勝が決まる。勝ち点を落としても、勝ち点4、9勝3敗1分けとなり、優勝の可能性を残す慶大、法大を勝率で上回る。慶大は現在、勝ち点3、6勝3敗。早大に2連勝すれば勝ち点4、8勝3敗で並び、プレーオフに持ち込める。法大も勝ち点3、6勝3敗。23日からの東大戦に連勝なら、勝ち点4、8勝3敗となる。慶大が連勝すれば、3校のプレーオフもある。