大将離脱の無念を、菅野が晴らす。首痛で大事を取って2軍調整中の巨人菅野智之投手(25)が、再登録が可能となる10日の「日本生命セ・パ交流戦」の日本ハム戦(札幌ドーム)で先発復帰する。8日はジャイアンツ球場のブルペンで60球を投げ、本番に備えた。7日には阿部慎之助内野手(36)が首痛のため、今季2度目の出場選手登録抹消。嫌なムードを、菅野が振り払う。

 阿部の存在の大きさを、原監督はあらためて実感していた。慢性的な首痛を抱えながらプレーを続けていたが、前日に限界を超えた。先発出場でなくても、代打の切り札、ベンチでの的確な助言、自然と生まれる明るいムード…有形無形の影響力があった。原監督は「残念だよね。今回はだいぶショックを受けている。今までとは違う。(交流戦明けの)ジャイアンツ球場での練習で合流しようと言っているけど、今回はしっかり治すことですね」と、治療に専念することになった心中を思いやった。

 入れ替わるように戻ってくる菅野も、無念さは分かっている。5月31日に首痛のため、大事をとって登録を抹消。それまで続けていた2試合連続完投は、左太もも裏の肉離れから復帰した阿部とのコンビだった。「助けられました。チームにも、帰ってきたのは大きかった」と感謝し、続けた。「自分も3年目で頼ってばかりじゃいられない。やることは変わらないけど力を合わせて頑張りたい」。

 大黒柱不在が、責任感をさらに強くさせている。この日はジャイアンツ球場でブルペン入り。力のある直球と変化球を計60球投じ、本番に備えた。公式戦初対戦の日本ハム打線は中田を軸に好打者が並ぶが「やることは一緒」と動じない。防御率はセ・リーグトップの1・36。失点を許さず、1回でも長くマウンドに君臨するのを求められるのは承知済みだ。「トータル的な体のケアもやってきて、体調は言い訳できないぐらい良い方向に向かっている」。大将不在のチームを、菅野が救う。【浜本卓也】