プツ、プツ…。これじゃ勝てんわい。阪神がタイムリー欠乏のトンネルに入り込んだ。4回に福留の15号ソロで反撃も、なお2死満塁で今成亮太内野手(27)が捕邪飛。6回も今成が逸機して、5安打2点どまりだった。9日の中日戦1回にマートンが記録したのを最後に、これで28イニング連続で適時打なし。勢いに乗れない。

 東京ドームにため息が充満した。4回、福留の1発で1-2と迫って、なお2死満塁。虎党の期待を7番今成が背負った。速球に力のあるマイコラスに対して2ボールと打者有利のカウントになった。だが、速球を2球連続空振りで追い込まれると、最後は詰まって捕手へのファウルフライ。重苦しい空気が流れた。

 今成は6回にも、2点差と迫ってなお2死一、二塁の場面で打席に立った。カーブと速球を見逃して追い込まれると、最後は速球に遅れたような空振りで三振に倒れた。

 和田監督 たまたま、2回とも今成のところでね。いつも打てるわけじゃないから、結果うんぬんではないんだけど、気持ちが向かっていけていないように見えてしまったからね。そういうところだろうな。

 指揮官は凡退した結果より、球種を絞り思い切って自分のスイングをする姿勢が見えなかったことを嘆いた。チャンスはつくるが勝負どころではねじ伏せられる。延長11回、サヨナラ捕逸で勝った9日の中日戦で1回にマートンが放って以降、これで28イニングもタイムリーが出ていない。そんな猛虎打線をこの日、象徴してしまったのが今成だった。

 試合後、今成はタイミングが合わなかったかとの問いに「そうですね。そんな感じでしたね。あそこで僕が打っていたらと思いますけど…」。いつも明るいムードメーカーも沈痛な表情で振り返った。そして、最後に「また、頑張ります」と言葉を絞り出した。

 これで借金は2となり、巨人とは2・5ゲーム差と突き放された。巨人戦の負け越しは5つとなり、東京ドームで6連敗。王者を倒さなければ優勝は見えてこないだけに、やられ続けるわけにはいかない。

 和田監督 今はそういうことではなくて、とにかく1戦、1戦ということで気持ちは変わらない。前半戦もこういう状態は何回もあって、そこで踏みとどまって跳ね返してきたんだし。このカードの流れはよくないけど、それを断ち切るような戦いを明日、しないといけないな。

 ここ数年、夏場に巨人戦で連敗してから失速するパターンが続いている。メッセンジャー、藤浪で連敗したショックは大きい。まだオールスター前、まだ2・5差とは言っていられないような内容の差も見せつけられている。きょう第3戦は非常に重要な意味を持ってくる。【鈴木忠平】

 ▼阪神は9日中日戦1回のマートン左前打を最後に、28イニング連続で適時打が出ていない。その間の6得点は本塁打2、犠飛2、捕逸、内野ゴロの間によるもの。今季ワーストの33イニング(5月15日中日戦9回~同20日巨人戦5回)に迫る勢いだ。