中日が13日、ドミニカ共和国出身のラファエル・ペレス投手(33=マリナーズ)の獲得を正式発表した。釣り船の船長をしていたという異色経歴を持つ左腕ペレスは、同郷の阪神ゴメス封じを宣言。年俸はシーズン途中ということもあり、推定1250万円と格安だ。

 逆襲のキーマンは元船長だった。メジャー通算338試合の登板経験がある左腕ペレスが意外な“職歴”を明かした。「プロ野球選手になる前は釣り船の船長だったんだよ。15、16歳の頃かな。地元では『ポパイ』っていうあだ名で呼ばれているよ」。今から18年前。地元サントドミンゴで約16・5メートルの船を操っていたという。

 中日に加入することになった「元船長」は、日本野球についての情報がほぼゼロのようだが、メジャー時代はイチローを12打数2安打と抑えていただけに「野球は世界どこに行っても同じだよ」とさらり。「とにかく試合に出る準備をしてアグレッシブに打者に向かっていく気持ちを出したい」と目を輝かせた。

 直球は145キロほどだが、テンポよくストライクゾーンにボールを投げ込む。メジャー2年目の07年には44試合に登板し、60回2/3を投げて防御率1・78。ファンや地元メディアから「地球上最高の左腕リリーバー」と称賛された。スライダー、カットボール、チェンジアップ、シンカーと多彩な変化球を駆使するスタイルは、日本でも曲げるつもりはない。

 “大物釣り”にも自信アリだ。阪神の主砲ゴメスの名前を耳にしたときだ。「もちろん対戦した経験がある。確かにいいバッターではあるけど、オレは逃げないよ」とニヤリ。あくまでも本人談だがドミニカ共和国のウインターリーグでも対戦経験があり「2年前かな。オレの記憶では16打席で打たれたのは二塁打1本だけだよ」。ほぼ完璧に抑えているという。

 首脳陣のハートもつかんだ。ナゴヤドームで会見を終えてグラウンドに直行。マウンドで投球練習するなどすぐに練習を開始した。谷繁兼任監督は「角度もあって手も長い。コントロールでむちゃくちゃになるような感じでもない」と先発として期待する。球宴明けに2軍戦の登板し、早ければ7月中にも1軍デビューを果たす。最下位に沈む中日を救えるか。「元船長」がチームの浮沈を握っている。【桝井聡】

 ◆ラファエル・ペレス 1982年5月15日、ドミニカ共和国・サントドミンゴ出身。02年にインディアンスと契約。09年WBCのドミニカ共和国代表。MLBでは中継ぎとして活躍。通算成績は338試合に登板し、21勝12敗3セーブ、防御率3・64。今季はマリナーズとマイナー契約を結び、メキシカンリーグ・キンタナロに派遣されていた。190センチ、90キロ。左投げ左打ち。背番号は49。