ソフトバンクに「エース」が帰ってきた。不調で出場選手登録を抹消されていた摂津正投手(33)が、復帰戦となったロッテ戦で7回4安打無失点。チームを後半戦白星発進に導き、5勝目を挙げた。貯金は今季最多23。頼れる右腕が戻ってきたホークスが、さらに加速する。

 頼れるエースが戻ってきた。摂津は7回を無失点に抑えると、ベンチで安堵(あんど)の表情。鷹の祭典で黄一色に染まった本拠地で、5月29日以来、約2カ月ぶりの白星だ。

 「先発として最低限の仕事ができたと思います。今日は本当に(フェンス際で捕球した中村)晃のプレー2つで助かりました」

 6月12日広島戦以来、39日ぶりの登板だった。チームは前日20日ロッテ戦(北九州)がグラウンドコンディション不良で中止。後半の開幕戦マウンドに上がった摂津は、本来の姿を取り戻していた。106球を投げ、許した安打は今季最少タイの4。テンポも良かった。今季13試合目で初の無失点投球を演じた。

 細川のリードのもと、変化球を意識するロッテの裏をかき、序盤は直球で押した。その後、逆に変化球を増やしてかく乱。工藤監督は「変化球のイメージを持っている中で直球で押すのも大事。そこでさらに変化球を生かせばいい。そういうことを理解してくれた」と、投球術に目を細めた。

 6月12日広島戦で5敗目を喫した翌日、プロ7年目で初めて不調で出場選手登録を抹消された。2軍には合流せず、リハビリ組のいる西戸崎合宿所に通った。週2度のペースでブルペン入り。制球力を研ぎ澄ませた。キャッチボール前にはバドミントンのラケットを使ってフォームをチェック。7月10日には2軍戦にも登板した。約1カ月をかけた地道な調整が実った。指揮官は「いいリフレッシュをしてしっかり調整できたことが結果に表れる。それが自信になる。(自信を)取り戻してほしい」と、エースの完全復調を願った。

 摂津は試合後、お立ち台には上がらなかったが、それは満足いく投球をしたいという高い理想があるからこそ。2位日本ハムとは5ゲーム差に広がった。先発ローテにエースが戻り、いよいよ独走への準備が整った。【福岡吉央】