ソフトバンクの快進撃が止まらない。オリックスを下し、5連勝で貯金は今季最多の26まで積み上がった。先発武田翔太投手(22)が7回3安打無失点。シーズン自己最多に並ぶ8勝目を挙げた。これでチームは勝率6割5分9厘。ホークスが福岡移転後、優勝したシーズンの最高勝率は11年の6割5分7厘だが、それを上回るペースで白星量産中だ。

 22歳の若き右腕が、独走するチームの柱になりつつある。武田は初回、大量失点のピンチを背負った。連続四球で1死満塁。続く糸井にもカウント3-0。だが、そこから持ち直し、最後は内角低め144キロ直球で見逃し三振。続く宮崎はカーブで空振り三振。無失点で切り抜けた。「相手は西さんなので1点もやれない。開き直って向かっていった」。そう振り返った男は、正念場でズレを修正していた。

 マウンドから目視して捕手のミットまで描くラインが大きくずれていた。「左打者の打席の線から(打者側へ)ボール2個分、ズレていた」。目視ラインをど真ん中にし、腕を振って低めに投げ続けた。何度もズレを感じ、4四球を与えたものの要所で踏ん張り、7回まで「0」を並べた。

 後続の五十嵐、サファテもオリックス打線を抑え、完封リレーで武田は8勝目。ルーキー時代の12年に並ぶシーズン自己最多勝利となった。「あの時とは違う。ただガムシャラだったのと、次のことを考えてゲームをつくるのは違う」。右肩痛を克服、1年を乗り切るスタミナをつけた。今年は4年目で初めて先発ローテーションを守り続け、チーム勝ち頭で防御率3・18もチームトップだ。

 武田に導かれ、チームは5連勝で今季最多貯金の26。勝率は6割5分9厘まで上昇。福岡移転後の優勝シーズン最高勝率だった11年(6割5分7厘)を上回るペースでVロードを突き進んでいる。日本一となった昨年は最多貯金が27だったが、早くもあと1に迫った。ホークスの歴史に残るであろう強力ナインに、武田の名も刻まれるに違いない。【石橋隆雄】