楽天松井稼頭央外野手(39)が日本通算2000安打を達成した。10年オフにメジャーから日本球界復帰した際の楽天監督だった星野仙一シニアアドバイザー(SA、68)も快挙を喜ぶと同時に、通過点とエールを送った。

 松井稼獲得には、入団当時の監督だった星野SAの働きもあった。10年オフに就任した際、フロントと松井稼の必要性で一致。新生楽天の金看板になれると見ていた。ただ、巨人も調査に動いていた。星野SAは「普通なら東京だよ。家もあるし。仙台に来るわけがなかった」と述懐する。楽天は予算も限られていた。切り札は、指揮官自らの“直電”だった。人を通じ、電話をかけ「心の部分を突いたんだ」。最終的にフロントから入団合意の報告を聞いた時には「よしっ」と膝をたたいたほど。文字通り、小躍りして喜んだ。

 見立てに狂いはなかった。「稼頭央を取れたのは大きかった。若手の見本。弱り切った、優しい、負け犬根性のあるチームに染まらずにやってくれた」と感謝する。単純な戦力以上の存在だった。若手が落ち込めば、食事に誘ったり、自宅に呼んだり。「稼頭央には、俺からも『ありがとう』と」。就任2年目でキャプテンに指名。チーム変革の力となり、翌年13年の日本一につながった。「稼頭央との思い出は、一緒に楽天イーグルスの歴史に大きな1ページをしるしたこと。これに尽きる」と振り返る。

 節目に達したが、星野SAは通過点と見ている。「身体能力は俺の長い50年のプロ野球人生でも、あれより上はいない。まだまだいける」と太鼓判を押した。もし日本に居続けていたら3000本は軽く超えていたはずとも言う。「欠点を探せばバントが下手なことくらい。まあバントをする必要のない走攻守そろった素晴らしい選手だから仕方がないか」と星野節に最高級の賛辞がにじんだ。【前楽天担当=古川真弥】