高卒ルーキーが光り輝いた。西武のドラフト1位高橋光成投手(18)が、球団では99年の松坂大輔(現ソフトバンク)以来となる完封勝利を挙げた。最速148キロの速球とフォークで、ロッテ打線を6安打2四球で抑え込み、今季3勝目を本拠地初白星で飾った。松坂は4月にマークしたが、8月ながら同じ登板4試合目でのスピード記録。チームを1日で3位に再浮上させる原動力となった。

 最後は2死一、二塁のピンチを背負った。完封まであと1人で21歳上の39歳福浦を迎えた。「経験されているベテランさんで、考えても分からない。思い切りキャッチャーのミットを目がけて投げました」。147キロの外寄り速球で二ゴロに抑えると、笑顔がはじけた。「完封は7回ぐらいから意識してしまって。バテていたけど、僕は思いきり投げることしかできないので、最後まで思い切り腕を振りました」。この投げっぷりがスタイルだ。

 成長スピードも速い。2日のデビュー戦では、走者を置いた時に欠点が見つかった。ノーワインドならきれいなフォームだが、クイックでバランスが崩れ、投球精度が2段階ぐらい落ちた。別人といっていいかもしれない。以来ブルペンで、前の左足から始動する感覚を繰り返し練習した。土肥投手コーチは「どうしてもセットの方が多いですからね。いい感じになりました。まだまだですけど順応性が速い」と驚きの声を上げた。

 不安材料がなくなれば、本来の力で押す投球ができる。「僕にはストレートしかない。カウントも取れたし、ファウルも取れた」と納得できた。相手が直球を待っていても投げ込むのが流儀だ。捕手炭谷も「真っすぐ主体だったけど力で勝っていた。ストライクゾーンで勝負できた」と威力をミットで感じていた。

 田辺監督も感服するばかりだ。失点した場合に備えて増田を待機させたが、投入する必要がなかった。「光成に尽きる。真っすぐのスピードも出ていたし、変化球も低めに決まりテンポのいい投球だった。投げるたびに内容がよくなる。次も期待したい」とたたえた。今後もCS進出をかけてロッテとのマッチレースが予想される。1日で3位に浮上する力となったが、残り28試合も高橋光の若い力が必要になる。【矢後洋一】

 ▼高橋光がプロ初完封で3連勝。高卒新人の完封勝利は12年9月25日武田(ソフトバンク)以来で、ドラフト制後(66年以降入団)は20人目。西武の高卒新人では2度完封した99年松坂以来となり、ドラフト制以前の西鉄時代の56年稲尾(3度)同年畑(4度)65年池永(3度)と合わせて5人目になる。この日の高橋光は4試合目。登板4試合目での完封勝利は05年ダルビッシュ(日本ハム)や07年田中(楽天)より早く、西武では56年畑、99年松坂と並び最速となった。また、西武の高卒新人で3連勝以上は99年松坂以来6人目。松坂は最高6連勝しているが、高橋光の連勝はどこまで続くか。