敗戦にも光があった。広島が敗れて連勝が4でストップ。先発福井が2発で沈んだ。だが2番手以降の若手投手陣3人が踏ん張ってゼロを並べた。DeNA戦は07年以来8年ぶりの負け越しが決まったが、収穫を手に激しい戦いに挑む。

 結果が何より大事だ。守りでは3者凡退が1度もない試合だったが、先発福井の降板後に並んだ3つのゼロは、今後を考える上で見逃せない数字だろう。6回からつないだ飯田哲矢投手(24)、一岡竜司投手(24)、今村猛投手(24)。ビハインドの展開で投入された3投手が、可能性を示した。接戦負けが多く、中継ぎ陣の登板が偏る傾向にあった投手陣。並べたゼロが今後の信頼に変わるなら、4連勝が止まった1敗も痛恨ではないはずだ。

 緒方監督 空いたなかでも、感覚を取り戻してゼロを並べてくれた。大瀬良と中崎ばかりに負担をかけるわけにはいかない。大事なところでもスタンバイしてもらうし、野手もそうだがこれからは総動員でいく。

 勝ちパターンに入れていない投手には当然、それぞれの課題がある。だが2番手左腕の飯田は上位打線を無失点でしのぎ、左打者の梶谷からは三振も奪った。一岡は2死から2安打されたが、キレが戻ってきた。今村も1軍昇格後初登板だったが1回1安打無失点。中継ぎ陣が粘って9回表の松山の1発を呼び込んだ。3人は言葉に力を込めて言う。

 飯田 点差が縮まってもいけるようになりたい。

 一岡 前半何もしていないので少しずつ返していきたい。

 今村 防御率もよくない。少しずつ力になりたい。

 セットアッパー大瀬良は現在でこそ、同点以上の状況でしか登板しない方針が固まっている。ただ8月は23試合中12試合に登板。中継ぎ転向後、3連投を3回、連投は4回こなした。「疲れが見えるところはある」と、畝投手コーチも認める。全試合を勝ちにいかなければならない状況だが、大瀬良を休ませなければならない状況もある。だからこそ、ビハインドで流れを変えられる投手が待望されているところだった。

 緒方監督は言う。「また明日、全力で戦っていく」。敗戦の有効活用が上位進出の材料になる。DeNA戦の07年以来8年ぶりの負け越しが決まっても、戦いを振り返っている場合ではない。ただ、前に進むのみだ。3人が鍵を握ると言っても過言ではないのかもしれない。【池本泰尚】