道産子左腕が飛躍の秋を迎える。東都大学野球秋季リーグは今日2日、東京・神宮で開幕する。今春、52季ぶり32度目のリーグ制覇を果たした専大の1年生、山田宏夢投手(北照)が、救援として2季連続Vを狙うチームの戦力として期待される。春に続いてベンチ入りのルーキーが、強豪ひしめくリーグの最多優勝回数を独走する名門で、躍動を誓う。

 山田は秋の開幕を待ちわびていた。春は国学院戦で3番手で登板し、2回2/3を1安打1失点に抑え、公式戦デビューを果たした。1年生だけで14人いる投手陣の中で、背番号をもらったのは3人だけ。「秋は春より投げる機会がありそう。短いイニングになると思うけど、しっかり0点に抑えたい」と出番に備える。

 左のスリークオーターが変化球で打者を翻弄(ほんろう)する。大きく曲がるスライダーとカーブに加え、大学入学後にチェンジアップを投げ始めた。秋に向けてカットボール、ツーシームの習得に取り組み「手応えはある」と自信を見せる。北照3年時の春、札幌円山での全道大会を視察してマウンド度胸にほれ込んだという斎藤正直監督(55)は「やっかいなタイプ。期待は大きいです」。秋は中継ぎとしての起用が主となる。

 中学、高校と控え投手だった左腕が、大学1年目から名門で輝きを放つ。北照時代は同期にオリックス斎藤綱記投手(18)がいた。公式戦初登板や甲子園マウンドなど斎藤の先を走ったが、背番号1は譲り、相手はプロの世界に飛び込んだ。「いいライバルでしたね」。斎藤の存在が刺激となり、さらなる成長を求めることができたのが、今に生きる。今では連絡をよく取り合い、お互いの健闘を誓い合っている。

 全国マウンドに立つ夢もある。小、中、高と全国で登板経験がある。6月の全日本選手権の初戦、京都学園大戦では序盤からブルペン入りを指示され、登板の可能性もあったが出番は訪れなかった。「神宮大会で投げてみたい」。そのためにも秋の優勝の一助となるべく、さらなる飛躍を誓う。【保坂果那】

 ◆山田宏夢(やまだ・ひろむ)1996年(平8)7月23日、小樽市出身。小樽奥沢小2年から野球を始め、同6年時に全道優勝し全国大会出場。小樽向陽中では小樽リトルシニアに所属。同3年時に全国8強入り。北照では1年春から背番号16でベンチ入り。2年春、夏甲子園出場。背番号7で臨んだ3年夏は地区代表決定戦で敗退。家族は両親と姉。179センチ、70キロ。左投げ左打ち。

 ◆専大野球部 1925年(大14)創部。31年、東都大学野球の前身の五大学連盟の発足と同時に加盟し、同年春優勝。35年の東都大学野球改称後は39年春から41年秋までリーグ最多記録の6季連続制覇(亜大も11年秋から14年秋まで6季連続V)。春19度、秋13度優勝。1部に昇格した今春の優勝は82年秋以来だった。全日本選手権には8度出場し、65年日本一。明治神宮大会は2度出場で81年の準優勝が最高。主なOBは広島黒田。

 ◆東都大学野球の主な北海道出身選手 専大では三浦拓馬内野手(4年=札幌第一)が1年春からベンチ入りし、正遊撃手として春のリーグVに貢献。国学院大・岡部祐太外野手(3年=旭川大高)は主力メンバーで、駒大・青地功樹外野手(3年=駒大苫小牧)も春7試合に出場した。今秋から1部昇格の日大では、松田進吾外野手(1年=札幌日大)らがベンチ入りしている。