頼もしい男のバットが、うなりを上げた。ロッテ井口資仁内野手(40)は1回、楽天釜田の直球を捉えた。外角の146キロ。右腕でしっかり押し込んだ。「あの方向は久々だったので、入るか分からなかった」と言いながらも、バックスクリーンへ。8月20日の日本ハム戦以来、約1カ月ぶり、文句なしの本塁打だった。

 チームを勇気づける1発だった。福岡でのソフトバンク戦で2戦合計3安打という極貧打を経験した。伊東監督は「あの2試合のショックは、僕の中では大きかった」と、引きずり気味だったことを明かした。しかし、本拠地に戻っての2試合で10点、8点と大量得点を重ね、指揮官の不安をぬぐい去った。

 その打てなかったソフトバンク投手陣との勝負が、今季のロッテのカギを握る。25日からの3連戦で再び対戦する可能性があるからだ。井口は「金、土、日、月がカギ」と、その後の西武との直接対決までの4試合を重要試合に位置づけた。

 5年に1度、今季はロッテのゴールデンイヤーと言われる。だが、それではいけないと井口は言う。「本当は5年に1度では恥ずかしいこと」。強い気持ちを持った百戦錬磨の男が、ラストスパートをけん引する。【竹内智信】