阪神の奇跡的なCS進出が新監督問題に波及しそうだ。7日、広島が最終戦で敗れ、3位での3年連続クライマックスシリーズ進出が決定。球団はすでに来季監督を金本知憲氏(47)に要請しているが、新体制への移行は全試合終了後とする方針で、当面は水面下で進めることになりそうだ。関係者の話を総合すると金本監督誕生への決着は間近とみられるが、現体制への配慮も予想され、決断まで“時間”が生じることになりそうだ。

 和田阪神にリベンジのチャンスが与えられた。マツダスタジアムでの今季最終戦、ゲーム差なしに迫っていた広島が中日に敗れた。あきらめかけていたCS進出が現実のものとなった。この“神風”が吹いたようなCS進出劇が、来季へ向けた動きには影響を及ぼしそうだ。

 球団はすでに金本氏に来季監督就任を要請している。これまでのような戦力継承型ではなく、抜本的な改革を託したいという球団の想いを伝え、誠意を示した。また、3年契約を基本線としながらも、改革路線ということを考慮して、さらなる長期政権も視野に入れているという。

 金本氏は、指導者経験がない自分が難しい環境にある人気球団、阪神の監督を引き受けることに慎重な姿勢を示しながらも、近い関係者には前向きな一面も見せているという。今月4日に宮城県で行われた講演では「本音はゆっくりしたい」としながらも「タイミングが合えば」と就任の可能性を否定しなかった。関係者によれば、何よりも交渉の席について、熟考していることが後ろ向きではない証しだという。周辺関係者の話を総合すると決断の時は間近だとみられている。

 だがチームがCSに進出したことで、球団の新体制移行も遅れることになりそうだ。現コーチングスタッフへの去就決定、通達など来季への動きは全試合終了後に行う方針だという。当面は金本氏との交渉も含めて、水面下で進められることになりそうだ。

 また、周囲への気遣いを忘れない金本氏だけに、現体制がポストシーズンを戦っている最中への配慮をすることが予想される。そうなれば、このCS進出によって、新監督誕生へ向けての決断までに“時間”が生じることになりそうだ。

 優勝を逃したチームが、最後の希望をかけて戦うポストシーズン。一方で時間も待ってくれない。猛虎は最後の戦いに挑みながら、水面下で新監督の受け入れ態勢を含めた来季への準備を進めていく。

<阪神監督問題経過>

 ◆9月23日 巨人にサヨナラ負け。自力2位が消え、和田監督は退任危機に立つ。

 ◆24日 坂井オーナーと南球団社長が緊急会談。和田監督の進退は順位確定まで見守る方針を確認。

 ◆25日 広島に3-0で勝利するも、和田監督の退任が確実に。後任は球団OBを中心に選定される方針も判明。

 ◆26日 広島入りした南社長と和田監督が直接会談。

 ◆27日 広島に連敗し、優勝が消滅。和田監督は「全ての責任は私にある」。

 ◆28日 来季新監督をOBの金本知憲氏に要請するよう最終調整に入った。

 ◆30日 電鉄本社での坂井オーナーと南社長のトップ会談で金本氏に正式に監督要請することを決定。

 ◆10月1日 南球団社長が金本氏と交渉を持ち、監督就任を要請。

 ◆4日 金本氏は宮城・名取市で講演。監督問題について初めて公の場で発言。質疑応答で「タイミングさえ合えば」と語った。