東京6大学リーグの早慶戦が今日31日から始まる。明大が法大に勝ち点を落としたことで、早慶両校に優勝の可能性が復活。4季連続で最終週に優勝のかかる大一番となった。慶大は2連勝で明大との優勝決定戦に持ち込める厳しい状況だが、4番を打つ「ヨシノブ2世」こと谷田成吾外野手(4年=慶応)が今季5本塁打と好調。あと2本でシーズン個人最多本塁打記録に並ぶ。22日のドラフト会議で指名漏れしたが、ここ一番で勝負強さを見せつける。

 神奈川・横浜市の慶大グラウンドでバットを振る谷田の顔には、いつもの笑みが戻っていた。ドラフト会議から8日が経過。取材陣に囲まれると、素直に自分の気持ちを話した。「もう気持ちは完全に次に行っています。慶応のユニホームを着て臨む大学最後のリーグ戦。しっかり次に向けて準備をしたいです」。

 リーグ通算15本塁打は現役トップ。指名確実と言われて迎えたドラフト当日だったが、名前は呼ばれなかった。同期の横尾、山本泰が指名され寮から会見場に向かう背中を見送った。夜には大久保秀昭監督(46)と面談。心配した友人、関係者からは山のようにLINE(ライン)や電話が届いた。「これだけ応援してくれているんだ、と思いました」。下を向いている暇はなかった。

 気持ちは恩返しへと切り替わった。今後は社会人へ進み2年後のプロ入りを目指す。「最後はいいところを見せたい。出し切りたい気持ち」。今季は5本塁打で法大・田中彰(04年秋)のシーズン最多記録にあと2と迫る。チームとしても今季18本塁打を放ち法大が04年秋に作った記録にあと2本で並ぶ。「優勝には3連勝しかない。でも、3連勝できたとしたら自分も自然と何本か打てているはず」。役割は分かっている。【和田美保】