広島大瀬良大地投手(24)が18日、次回の検査次第で来週にも投球練習を再開すると明かした。登板過多や右手中指の炎症から、1カ月以上ノースロー調整を続ける。前日17日からは大分・由布院でリハビリキャンプ。各箇所は良化し、投球再開のめどが立った。先発復帰する来季へ向けた準備段階は、次なるステージへ上がろうとしている。

 ふつふつと湧き出す温泉のように、大瀬良の投げたい欲求もあふれ出す寸前だ。「早く投げたい。投げて(体が)どういう反応をするのか見てみたい」。オーバーホールを目的に過ごす大分・由布院でも、1カ月以上離れた白球の感覚が恋しくてたまらない。

 今季はチーム2位の51試合に登板した。先発、中継ぎにフル回転した影響は、筋肉量の低下や股関節の硬化に表れた。6月下旬には右手中指に炎症を起こしていた。10月7日の最終戦を最後に完全ノースロー。14日に打ち上げた秋季キャンプは筋力強化と股関節の柔軟性を高めるメニューに終始した。リハビリキャンプ中に受けるメディカル検査の結果次第だが「肩、肘は問題ない。あとは指先。投げてみないと分からないところ」と投球再開を待ちわびる。

 投球再開を合図に、先発復帰への準備段階に入る。まずはネットスローから始め、徐々に強度を上げていく。この時期にノースロー調整を設けられたことで、オフのトレーニングは前倒しする。例年1月末に行っていたブルペンでの初投げを中旬に行い、2月1日のキャンプ初日からブルペンに入れる体を仕上げる。

 オフのテーマには、フォークの完全習得もある。「決め球に使えるところまで持っていければ投球も変わってくる」。シーズン中も黒田や福井らに助言を求めながらブルペンで試投してきた。セットアッパーのポジションでは投げる機会が少なかったものの「ちょっとずつ、1歩ずつ進歩が見られたかな」と手応えをつかんだ。

 今季は先発9試合、1勝に終わった。「三振を取るのに苦労した。落ちる球があれば、奪三振率も上がると思う。(1試合の三振が)2桁取れたらうれしい」。苦しい1年を過ごし、投げない日々も終わろうとしている。我慢のときを経て、大瀬良が「ドクターK」となり先発マウンドに帰ってくる。【前原淳】

 ◆先発大瀬良 大瀬良は今季、開幕ローテ入りも9試合に先発して1勝のみ。ヒースの不振もあり、抑えの中崎につなぐ勝利の方程式を確立できないチーム状況から中継ぎに転向した。これはあくまで応急処置。緒方監督は決断した当初から「将来のエース」と認めており、来季の先発復帰は既定路線だった。シーズン終盤には緒方監督、畝投手コーチともに「来季は先発」と明言。大瀬良も先発として来季を見据え、トレーニングを行っている。