ソフトバンクからドラフト1位指名された県岐阜商・高橋純平投手(18)が26日、岐阜市内のホテルで契約に合意した。最高額の契約金1億円プラス出来高5000万円、年俸1500万円。選手層の厚いチームに加入するが、1年目から1軍マウンドに立つことを宣言。野球復活が濃厚な20年の東京五輪では侍ジャパンのエースナンバー「18」を背負い、金メダルを獲得する夢を描いた。

 高橋は期待の大きさを正面から受け止めた。球団の高校生では01年ドラフト1巡目の寺原以来となる最高額で契約に合意。プロの世界の入り口に堂々と立った。「(最高条件が)重いとは思わない。期待されているうちに、結果を残したい」。15年の高校生NO・1右腕は、3球団競合の末に2連覇を果たしたホークスに加入。12球団で最も過酷なチーム内競争が待っているが、歓迎しているように見えた。

 「選手層は厚いですが、1年目から1軍のマウンドを狙う。3年でローテーションに食い込めるようにしたい」

 将来性のエース候補だ。球団はじっくりと育成する方針だが、甘んじる考えはなかった。大きな夢を鮮明に描いていた。それは20年の東京五輪。侍ジャパンでエースナンバーをつけることだ。高校日本代表では左太もも裏の肉離れが影響し、本領を発揮できず、頂点には立てなかった。

 「近場にいい機会がある。そこを目指して頑張っていきたい。18をつけられる選手になりたい。U-18では金メダルを逃した悔しさがある。大きな大会で優勝した経験は1度もない。金メダルが欲しい」。明確に目標にしているから、5年後を遠い将来と思っていない。

 母校のDNAが大きな目標を設定させる。県岐阜商にはOBがいる。シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子、今季限りで現役を引退した中日和田一浩。「OBを代表して、誇らしい先輩。僕も並べるように…」。地元にある高橋尚子ロードを走ることはなかったが、織田信長の岐阜城はランニングコースだった。天下取りを夢見て走り込み、最速152キロの土台を作った。

 3連覇を目指す工藤ホークスは投手王国の建設に力を注いでいる。高橋はその重責を担う1人だ。自ら描いた「純平ロード」が実現すれば、黄金期は長く続く。【田口真一郎】

 ▼高橋が契約金1億円(出来高払い5000万円)年俸1500万円(金額は推定)の最高条件で契約合意。新人の契約金最高標準額が設定された94年以降、最高条件で契約した高卒新人は昨季まで10人。今年のドラフト指名選手で提示されたのは中日小笠原に次いで2人目だ。ソフトバンクではダイエー時代の01年1巡目の寺原(日南学園)以来。他に00年内海哲也(当時敦賀気比)がオリックスから最高条件を提示され入団拒否した例がある。公立校の選手は高橋が初めて。

<高橋純平(たかはし・じゅんぺい)アラカルト>

 ▼生まれ 1997年(平9)5月8日、岐阜市。

 ▼球歴 小学2年から梅林スポーツ少年団で始める。梅林中時代は揖斐本巣パワーボーイズに所属。県岐阜商では1年春からベンチ入り。

 ▼甲子園 3年春のセンバツに出場。1回戦の松商学園戦で1失点完投、2回戦の近江戦で完封し、ベスト8に進出した。準々決勝の浦和学院戦では5失点して敗れた。

 ▼球種 直球、カーブ、スライダー、スプリット。直球の最速は152キロ。

 ▼身体データ 183センチ、79キロ。右投げ右打ち。遠投100メートル。50メートル6秒5。握力は右60キロ、左58キロ。

 ▼好きな歌手 三代目J Soul Brothers。

 ▼好きな言葉 一期一会、一投創造。

 ▼ニックネーム 高校時代は「ペー」。「プロに入っても『ペー』と呼んで下さい!」。