大谷を真のエースへ導く。日本ハムは29日、前ソフトバンク1軍投手コーチの吉井理人氏(50)が1軍投手コーチに就任すると発表した。背番号は前回在籍時と同じ「81」。4年ぶりの同職復帰となる吉井氏は、今季15勝の大谷翔平投手(21)について「もっともっと、できる」と、期待を表現。今季160回2/3だったシーズン投球回が200回を突破することがエースの条件とも明言した。これで、チームの来季コーチングスタッフの陣容が固まった。

 物腰の柔らかい関西弁で、二刀流右腕にさらなる奮起を促した。吉井1軍投手コーチは、大谷の能力の高さを認めるからこそ、辛口に分析した。「イニング数を増やして、もっとチームに勝てるチャンスを与えていってほしい。もっともっと、できる」。最多勝、最優秀防御率、最高勝率の投手3冠に輝いても成長の余地を見抜いていた。今季シーズン投球回は160回2/3イニング。「エースと呼ばれるピッチャーになるには200イニングくらい投げないと」と指針を掲げた。

 大谷を進化させる道筋はイメージできている。「すごいポテンシャルを持っている。良いところを伸ばしていきたい」。最大の長所は最速162キロの真っすぐとみるが改善ポイントもあるという。「威力があるように見えていない。きれいな回転とも思えない。そこが彼の、これからのポイント」と指摘。直球の質や制球力が向上すれば、今季1試合平均で約112球だった球数を軽減させられる。

 今季はソフトバンクの強力投手陣をブルペン担当として支えて日本一に貢献した。シーズン後に3軍投手コーチへの配置転換を打診されたが「勝負の醍醐味、楽しさを知っているので1軍の勝った負けたという場に身を置きたい。パ・リーグを盛り上げるためにも、そこ(ソフトバンク)に対抗できるチームを作りたい」。2年契約で指導者としてスタートを切った古巣へ戻る。メジャー経験もある豊富な知識と理論で、前回在籍時にいなかった大谷に化学変化を起こして真のエースへ導く。【木下大輔】