【ホノルル(米ハワイ州)16日(日本時間17日)=栗田尚樹】「ストイックライアン」が、来季の燕を引っ張る。ヤクルト小川泰弘投手(25)が優勝旅行先のハワイで、断酒を誓った。ソフトバンクとの日本シリーズを経験し、強い体作りの必要性を痛感。今季から契約を結ぶ管理栄養士の助言を受け、たしなむ程度の酒も断つ決意を固めた。この日の「球団主催ゴルフコンペ」ではブービー賞に終わったが、マウンド上ではキレ味を増した姿を披露する。

 小川は、既に来季に目を向けていた。バカンスムード漂うハワイ。そんな中でも、野球のことは切り離せなかった。「これからはお酒は断とうと思う。栄養士さんと今度の体作りについて相談した上で、たしなむ程度もやめると思う。節制した生活です」と断酒を誓った。

 今季は週に2日程度、ビールを中心に飲んでいた。登板前日は口にしなかったが、来季はさらに厳しいルールを課す。「『お酒を断つことで疲れにくい体ができる』と聞いた。1年間戦い抜く体のためにも効果はあると思う」。今季11勝8敗と勝ち越したが、決して満足していない。2年連続の開幕投手を任されながら、前半戦は4勝6敗と苦しんだ。「自分の調子が悪い時でも、しっかり勝てる柱になりたい」と、責任感をにじませた。

 日本一を逃したことも1つの要因だった。対戦したソフトバンク投手陣を見て違いを痛感した。「パワーがある印象。細かいコントロールは抜きにして、真っすぐで押し込んでいる。そこが自分に足りないところ」。体にキレを生み出し、以前からこだわり続ける直球に磨きをかける。

 体のケアには気を使うタイプだ。それまで週3回食べていた大好物のアイスクリームを、今季はやめた。理想とする78キロ前後の体重をキープするために心を鬼にした。すべてはチームを引っ張る存在になるため-。この日のゴルフコンペでは137をたたき、58人中57位と惨敗。だが、本職では輝いてみせる。契約更改で誓った「ヤクルトと言えば小川と言われるように」を有言実行する。

 ◆大リーグでは アルコールが原因でパフォーマンスが低下する選手は多い。20代にレンジャーズの主砲として活躍したハミルトンは依存症から抜け出せず30歳を過ぎてから成績が急降下。ヤンキースのエース左腕サバシアは6勝に終わった今季終了後に依存症であることを告白した。一方、09年のシーズン中に飲酒トラブルを起こしたタイガースのカブレラは3カ月間の治療を受け断酒に成功。その後は右肩上がりの成績をマークし、12年にメジャーで45年ぶりの3冠王に輝いた。